電流入力 Power IVC Study する

その2





・Vds−Id特性。

データシートのそれにかなり近い。
・Vgs−Id特性。

・これもデータシートのそれにかなり近い。
・Vds−Id特性をVdsを100Vまで見たもの。

・データシートにはない。

・ので、No-228の図1と比較する。

・随分違う。(爆)

・あれほど見事な定電流特性でも、シャープな肩特性でもない。
・No-228の図5と同じ条件にした動特性。

・No-228の図5とかなり近い。
・No−228的に組む。
・LTspiceが占うそのゲイン−周波数特性。

・赤はオープントランスインピーダンス。

・ΩをdB表示しているので83dB=15kΩ。

・緑がクローズドゲイン。基準レベル1Vに対する値として23.5dB。

・1mA*25.1kΩ=25.1V。基準レベルの1Vに対し15.1倍=23.58dB。

・6MHz付近のピークが不気味。
・発振しないか?というのが不気味さの意味だが、

・それは実際に出力波形を見れば良い。

・ので、20kHz正弦波応答。

入力は0.5mAで、負荷は8Ω。

・問題なさ気。
・が、終段マイナス側のSCTMU001Fのゲート抵抗R21は、1kΩにしないと寄生発振が起こると言われている。

・実際、これを100Ωにしたら上手くなかったという報告もある。

・ので、SCTMU001Fのゲート抵抗R21を100Ωにした場合の20kHz方形波応答が右。

・入力0.5mA、負荷=8Ω、R21=100Ω

・本当だ。

・20kHz正弦波の立ち上がり時に、超高域発振が乗っている。

・これでは駄目だ。
・試しに負荷4Ωでも同様にやってみる。

・まずは、R21は1kΩとしたままで。

・20kHz正弦波応答。

・入力0.5mA、負荷=8Ω、R21=1kΩ

・当然だと思うが、問題ない。
・次に、R21を100Ωにした場合。

・同じく20kHz方形波応答。

・入力0.5mA、負荷=4Ω、R21=100Ω

・問題ない。

・マイナス側のSCTMU001Fのゲート抵抗R21を100Ωにしても、負荷が4Ωなら発振しないようだ。

・う〜ん。。。
・ならば、負荷オープンではどうか。

R21は1kΩで。

入力0.5mA、負荷=オープン、R21=1kΩ

・なんと、負荷オープンでは、R21が1kΩでも、見事に発振してしまう。
・もしや、負荷抵抗値が大きくなると発振しやすいのかな?

・と、負荷抵抗値を色々変化させてシミュレートしてみる。

・と、負荷20Ωを超えたあたりから怪しくなって、それ以上の負荷になると発振する。

・右は負荷抵抗24Ωの場合。

・入力0.5mA、負荷=24Ω、R21=1kΩ

・20kHz正弦波に超高域の発振が乗っている。

・何とも不安定。
・完全対称型は、終段がソース接地動作なので、負荷抵抗に比例してオープンゲインが大きくなる。

・そうするとNFB量が増えて、不安定になる場合がある。

・ということで、負荷が大きくなってもオープンゲインが増えないように、アンプ出力に0.1uF+10Ωをパラに追加する。
・この場合の20kHz正弦波応答。負荷はオープンである。

・入力0.5mA 負荷=オープン、R21=1kΩ

・負荷オープンでも発振しなくなった。
・この場合の、ゲイン−周波数特性。

・負荷=オープン、R21=1kΩ。

・あまり変わったようには見えない。

・かえってピークは鋭くなったような気がする。

・これで、本当に大丈夫なのだろうか?
・ものは試しなので、R21を100Ωにして同様にやってみる。

・入力0.5mA、負荷=オープン、R21=100Ω

・R21を100Ωにすると、やっぱり発振だ。

・何とも不安定。
・この場合の、ゲイン−周波数特性。

・負荷=オープン、R21=100Ω

・ピークがさらに鋭くなっている。やはりこれが悪いのか?
・Vds−Id特性。

データシートのそれにかなり近い。
・Vgs−Id特性。

・これもデータシートのそれにかなり近い。
・Vds−Id特性をVdsを100Vまで見たもの。

・データシートにはない。

・ので、No-223の図1と比較する。

・随分違う。(爆)

・あれほど見事な定電流特性でも、シャープな肩特性でもない。
・No-223の図3と同じ条件にした動特性。

・赤が8Ω。緑が4Ω。
・No−222的に組む。
・LTspiceが占うそのゲイン-周波数特性。

・赤はオープントランスインピーダンス。

・ΩをdB表示しているので83dB=15kΩ。

・緑がクローズドゲイン。基準レベル1Vに対する値として23.5dB。

・1mA*25.1kΩ=25.1V。基準レベルの1Vに対し15.1倍=23.58dB。

・4MHz付近にピークがあるが、No−228的の場合よりピークは小さい。
・20kHz正弦波応答。

入力は0.5mAで、負荷は8Ω。

・問題ない。
・ちなみに、SCT2080KEのゲート抵抗R21を100Ωにした場合。

・入力0.5mA、負荷=8Ω、R21=100Ω

・なんと。。。これは問題ない。
・マイナス側のSCT2080KEのゲート抵抗R21を100Ωにしたまま、負荷を80kΩ(負荷オープン相当)にした場合。

・入力0.5mA、負荷=80kΩ、R21=100Ω。

・やはり、見事に発振する。
・マイナス側のSCT2080KEのゲート抵抗R21を1kΩに戻して、負荷を80kΩ(負荷オープン相当)にした場合。

・入力0.5mA、負荷=80kΩ、R21=1kΩ

ゲート抵抗R21が100Ωの場合よりはましだが、発振することに変わりはない。








結論として、SCT2080KEを使用したNo−222的も、SCTMU001Fを使用したNo−228的の場合と殆ど同様のよう。

・余り安定ではない。

・何故こうなるのか?

・こういうトランスインピーダンスアンプは、100%の帰還がかかったボルテージフォロア動作をしている。

・ので、その辺が胆だろう。

・ミドルブルック法でその辺と、対処法を観じる。
・負荷が8Ωの場合のゲイン−周波数特性。

・赤がオープンゲイン。緑がループゲイン。空色がクローズドゲイン。グラフ上で赤と緑は低域で重なっている。

・オープンゲインもループゲインも低域で46.5dB。

・すなわち、100%のNFBがかかり、結果クローズドゲインが0dBの、すなわちボルテージフォロア動作をしている。ということである。(100kHz以上の高域では、ややクローズドゲインを持ち、ボルテージフォロア動作から外れているが。)

・見るべきは、ループゲイン(緑)が0dBに沈む利得交差周波数と、その点におけるループゲインの位相(緑の点線)だが、その周波数は5.5MHz程度、そして、問題なのがその位相で、これが−160°。

・あぶない。これでは発振ぎりぎり。
・この状態のまま、マイナス側のSTCMU001Fのゲート抵抗R21、R44を1kΩから100Ωに変えると、

・ループゲインが0dBに沈む利得交差周波数が7.5MHz付近に上がり、その点における位相が−180°となる。

・これでは発振不可避。

・1kΩと100Ωの違いが何故こういう結果をを引き起こすのか?

・知らない。(爆)
・次に、R21とR44を1kΩに戻して、負荷抵抗R23とR45を8Ω、16Ω、32Ωとするパラメトリック解析で、何故負荷抵抗が大きくなると発振するのかを観る。

・一目瞭然。

・終段がソース接地の完全対称型なので、オープンゲインもループゲインも負荷に比例して上昇し、低域で負荷8Ωで46.5dB、負荷16Ωで52.3dB、負荷32Ωで57.6dB。

・負荷の上昇と共に高域の利得も上昇するが、その分利得交差周波数が負荷が大きくなるほどに高域に上昇し、8Ωで5.5MHz、16Ωで7.5MHz、32Ωでは8.5MHz。

・で、問題は、その位相(緑の点線)。

・残念なことに、初段のステップ位相補正による位相の戻りの効果が1.5MHz程度までで途絶え、1.5MHz以上では、負荷にかかわらず同様に位相回転が進む。

・要すれば、1.5MHz以上では周波数が上がるほどに、利得交差周波数が上昇すると、その点での位相回転はより進むだけ。

・この結果から、負荷20Ω以上になると発振しだすのは理屈。

・負荷オープンで発振するのは至極当然。
・位相補正をあれこれ変更することで上手くいかないか、と、策を弄する。

・まずは、帰還回路にパラに接続されているC2、C6で何とかならないか。

・C2、C6を10p、20p、40p、80pとするパラメトリック解析。

・なんと、この容量を増やすほどに利得交差周波数は高域に伸びる。

・位相回転の方はその領域ではほぼ同じ。

・これではC2、C6は、その容量を増やすほどに発振しやすくなるということ。

・これは駄目。
・では、次に初段のステップ位相補正のC1、C5の調整で上手くいかないか。

・C1、C5を250pF、500pF、1000pF、2000pF、4000pFとするパラメトリック解析。

結果、C1、C5を変化させることによる変化は、利得では100kHzから3MHz、その位相では1kHzから6MHzぐらいということが分かる。

C1、C5の調整では、利得交差周波数には変化を与えられないし、その点での位相回転にも有意な変化を与えられない。

・これも駄目。
・では、初段のステップ位相補正のR3、R26の調整では上手くいかないか。

・R3、R26を43Ω、215Ω、430Ω、2150Ω、4300Ωするパラメトリック解析。

・R3、R26を小さくするほどに利得交差周波数は明確に低くなる。

・また、小さくするほどに位相回転を引き戻す周波数が高い方に移行する。

R3、R26は小さい方が絶対的な位相回転は進むので、この辺を利得交差周波数の動きと合わせて、バランスをとって設定する必要があることが分かる。

・これは使いようで上手く行くかもしれない。

R3、R26は100Ωから200Ω辺りが良さ気。
・なので、R3、R26を100Ω、150Ω、200Ωとするパラメトリック解析。

・利得交差周波数は、100Ω、150Ω、200Ωの順により高域に伸びる。その位相回転は、1MHz付近では100Ω、150Ω、200Ωの順により進む。

・それぞれの場合の利得交差周波数とその点における位相回転をよくよく観ると、R3、R26は150Ωが最も良さ気。
・R3、R26を150として、次に、負荷抵抗が大きくなった場合に発振することへの策を観る。

・負荷R23、R45を4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ωとするパラメトリック解析。

・やはり、R3、R26を150Ωとしても、負荷が大きくなると利得交差周波数が高い周波数側に移行し、位相回転はその領域では変化させられない。

・だから、この場合でも負荷が大きくなると発振する。

・やはり、出力に0.1uF+10Ωを入れることが必須か。
・出力には0.1uF+10Ωを入れて再度、負荷R23、R45を4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ω、80kΩ(負荷オープン相当)とするパラメトリック解析。

・いずれも利得交差周波数の位相回転が150°以内に収まる。

・こうしておけば発振しないだろう。
・ここまですれば、終段マイナス側のSCTU001Fのゲート抵抗R21、R44を100Ωにしても大丈夫ではないか?

・負荷R23、R45を4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ω、80kΩ(負荷オープン相当)とするパラメトリック解析。

・残念ながら、やはり利得交差周波数がより高域に上昇し、負荷が大きくなるほどに、その点での位相回転が進んでしまう。

・何故かは知らぬが、素直に1kΩにしておくのが吉のよう。
・もし、以上の対策でも駄目ならどうするか?

・それはもうNFB量100%のボルテージフォロア動作を止めるしかないだろう。

・要するにループゲイン≒NFB量を減らすことだ。

・そのためには、J2、J4のゲートに抵抗を入れて、NFB量を「入力抵抗/(入力抵抗+帰還抵抗)」分減らせばよい。

・たとえば入力抵抗を10kΩとして、負荷R23、R45を4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ω、80kΩ(負荷オープン相当)とするパラメトリック解析をしてみると、

・クローズドゲイン(空色)は低域で(10kΩ+10kΩ+5.1kΩ)/10kΩ=2.51≒8dBとなる。

・しかして、その分ループゲイン(緑)≒NFB量が8dB減って、位相補正的にもさらに安全方向になることが明らか。
・が、この対策は、明示的にやらなくとも、実際のところ結果的に殆どの場合実施している。

・それは、入力源が電流出力と言っても、シミュレーションのように、本当に出力インピーダンスが無限大の電流源などは、現実には存在しないから。実際の電流源は、出力インピーダンスが相対的に大きいというだけで、無限大ではない。現実に存在する電流源をシミュレーション上でより正しく表現すれば、電圧源の出力にシリーズに抵抗を入れたものになる。だから、現実には、この信号源の出力インピーダンスが、入力にパラにしたJ2、J4のゲート抵抗になっているのである。自動的に。

・で、上がその抵抗R49、R50を1kΩ、2kΩ、4kΩ、8kΩ、16kΩとするパラメトリック解析。負荷は80kΩ(オープン相当)。

・オープンゲイン(赤)はどの場合も同じ。ループゲイン(緑)は、低い方からR49、R50が1kΩ、2kΩ、4kΩ、8kΩ、16kΩの場合。クローズドゲイン(空色)は高い方からR49、R50が1kΩ、2kΩ、4kΩ、8kΩ、16kΩの場合。ループゲインの位相(緑の点線)は高域の戻りの大きい方からR49、R50が1kΩ、2kΩ、4kΩ、8kΩ、16kΩの場合。R49、R50が小さくなるほどに、クローズドゲインが大きくなり、すなわち、ループゲイン≒NFB量が小さくなり、位相的には安定方向になる。

・だから、このアンプは、現実の使用状況では、これまでのシミュレーション結果より安定である可能性が高い。

・が、それでも入力をオープンにした途端に発振するという状況になる可能性がある。入出力につなぐ機器の状況によって不安定になるなど、困ったもの。

・なので、そういうことを避ける意味では、入力のJ2、J4のゲートには抵抗を入れておくべき。
・以上のようにあれこれ面倒なのは、要すればオープンゲインが大きいからである。

・であれば、そもそもオープンゲインをもう少し小さなものにして安定度を確保する方が、面倒がないのではないか。

・と、初段を2SK117から2SK30に変更。

・J2、J4のゲートに抵抗は入れずに、負荷R23、R45を4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ω、80kΩ(負荷オープン相当)とするパラメトリック解析。

・そもそものオープンゲイン、ループゲインが10dB強減少し、位相補正的にとても適切な状態になる。
・ついでに、出力にシリーズの0.1uF+10Ωもなしとして、負荷R23、R45を4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ω、80kΩ(負荷オープン相当)とするパラメトリック解析。

・出力に0.1uF+10Ωを入れる必要もない。
・この場合も初段のステップ位相補正は、やはり150Ω+1000pFの方が良さ気だ。

・初段のステップ位相補正を430Ω+1000pFにすると、出力に0.1uF+10Ωを入れる必要がありそうだ。
・と、この方が良さ気なのに、どうしてこうしないのか?

・それは、現実の使用状況でNFB量が十分でなくなるからかな。

・現実には電流出力と言っても、電圧出力のプリアンプに1kΩとか2kΩの抵抗をシリーズにして電流出力にしたものが使用される。

・で、その状態を、R49、R50を1kΩ、2kΩ、4kΩ、8kΩ、16kΩとするパラメトリック解析で観る。と、右。負荷は8Ωである。

・負荷が8Ωなのでオープンゲインは34dB。

・入力ソースが高い出力インピーダンスの電流源であれば、クローズドゲイン(空色)が0dBでループゲイン(緑)≒NFB量が34dBとなるのだが、実際の入力ソースの出力インピーダンスは、それほど高くない場合が殆ど。

・その場合、入力ソースの出力抵抗がNFB量を「入力の出力抵抗/(入力の出力抵抗+帰還抵抗)」分減少させる。

・結果、右の通り、入力ソースの出力抵抗が1kΩの場合にはループゲイン≒NFB量は10dB弱、2kΩの場合15dB強、4kΩの場合20dB強、8kΩの場合25dB、16kΩの場合28dB。

・負荷4Ωの場合はこれがさらに6dB減る。

・何とも難しいね。
・No−223的に組む。
・そのゲイン−周波数特性。

・赤はオープントランスインピーダンス。

・ΩをdB表示しているので83.5dB=15kΩ。

・緑がクローズドゲイン。基準レベル1Vに対する値として23.5dB。

・1mA*25.1kΩ=25.1V。基準レベルの1Vに対し15.1倍=23.58dB。

・これは、高域の下降カーブにピークもなく、素直。

・これなら問題はないのではないか。
・と、良さ気なので、早速20kHz正弦波応答。

・この際、負荷R23を4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ω、80kΩ(負荷オープン相当)のパラメトリック解析で一気に観る。

・入力は1mA、20kHz正弦波。
・結果。

・素晴らしい。

・グラフは6本が重なっているのだが、いずれも何の問題もない。
・これは、同様で、帰還回路のR12を0.01Ω(0Ω相当)にした場合。

・素晴らしい。

・グラフは6本が重なっているのだが、いずれも何の問題もない。

・No−223的は、出力に0.1uF+10Ωを追加するなどの発振対策は不要だ。
・良さ気なので、10kHz方形波応答も観る。

・入力は1mAp−p、10kHz方形波。


・負荷R23を4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ω、80kΩ(負荷オープン相当)のパラメトリック解析で一気に観る。

・帰還回路のR12はまず0.01Ω(0Ω相当)の場合。
・オーバーシュート、アンダーシュートがあるが、この程度ならまずは許容範囲だろう。
・帰還回路のR12が10kΩの場合

・この場合も、僅かにオーバーシュートがあるが、この程度なら問題ない。
・と、同じような構成なのに、No−223的は素晴らしく、No−222的とNo−228的はイマイチ。

・何故そうなのか?

・を、No−223的のミドルブルック解析で観る。

・負荷R23が4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ω、80kΩ(負荷オープン相当)のパラメトリック解析。
・一目瞭然。

・負荷R23がいずれの場合でも利得交差周波数におけるループゲインの位相は−130°以内だ。

・お見事。

・位相補正が実に上手く行っている。

・これなら、出力にパラに0.1uF+10Ωを入れる必要もない。入力に抵抗をパラに入れる必要もない。










・真空管がお好きなのだなぁ。

・初段のステップ位相補正値はこれで決め、○○と××はそれをただ流用?


・結論。

・反転動作では、入力抵抗も、入力の容量もNFBループ内。こういうIVC動作では、そのことがもろに現れる。前段機器の出力インピーダンスも接続ケーブルの容量もパワーIVCのNFBループ内にあって、パワーIVCの動作と動作安定性に直結する。これがあれこれ面倒なことの真の原因。

・難しいね。


・私には、この辺がいいところかな。
・負荷を4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ω、80kΩ(負荷オープン相当)とした場合のゲイン(トランスインピーダンス)−周波数特性。

・赤がオープントランスインピーダンス。緑がクローズドトランスインピーダンス。空色がループゲイン≒NFB量。ピンクが1Vを基準値としたクローズドゲイン。

・オープントランスインピーダンスとクローズドトランスインピーダンスは、ΩをdB表示しているので、120dB=1MΩ、100dB=100kΩ、80dB=10kΩ、60dB=1kΩである。

・クローズドゲインは、入力電流×クローズドトランスインピーダンスなので、この場合、1mA×80dB(10kΩ)=10V=20dB。

・特に問題はないよう。
・IV変換抵抗R13を1kΩとした場合はどうか?
 
・オープントランスインピーダンス(赤)に変化はない。

・クローズドトランスインピーダンス(緑)は60dB=1kΩ、クローズドゲイン(ピンク)は0dBと。それぞれ20dB低下し、ループゲイン(空色)≒NFB量が20dB増加している。

この場合、クローズドゲインが0dBのボルテージフォロア動作となるが、クローズドゲインの高域にピークはなく、問題ない。
 
・20kHz正弦波応答。
・負荷はパラメトリックに4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ω、80kΩ(負荷オープン相当)。

・負荷4Ω時に、プラス側4.5V程度で飽和してしまう。

・SCTMU001Fの飽和電圧が大電流時に大きくなるからだろう。
・IV変換抵抗のR13を1kΩとした場合。

・負荷はパラメトリックに4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ω、80kΩ(負荷オープン相当)。
・10kHz方形波応答。
・負荷はパラメトリックに4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ω、80kΩ(負荷オープン相当)。

・素晴らしい。
・IV変換抵抗のR13を1kΩとした場合。

・負荷はパラメトリックに4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ω、80kΩ(負荷オープン相当)。

・素晴らしい。

・と、良さ気。

・が、このままでは出力が余り取れないので、電源電圧をどうするか?とか。

・後は実際作ってみないと分からない。



・ところで、以上はただの占いである。信じてはいけない。




2014年7月20日








続き



・No−225的に組む。

・スピーカー端子にはダミーロード(56Ω金属皮膜抵抗7本パラ接続)を接続、入力端子は1kΩ抵抗でターミネート。Power SW オン。

・とある。

・何故そうして調整をしなければならないのか?
・そのゲイン−周波数特性。

・赤はオープントランスインピーダンス。

・ΩをdB表示しているので81.2B=11kΩ。

・緑がクローズドゲイン。基準レベル1Vに対する値として21.2dB。

・1mA*12kΩ=12V。基準レベルの1Vに対し12倍=21.5dB。

・高域の下降カーブにピークはない。もう少し、なで肩だとさらに良いのだが、これなら問題はないのではないか。

・まぁ、入力を1kΩでターミネートしたのだから、その場合はこうなってもらわないとどうにもならないのだが。
・ちなみに、入力端子に入れた1kΩのターミネート抵抗を外すと。
・。。。。。。。。。
・No−233的に組む。

・出力トランスがF−2003だが、是非もない。
・負荷8Ωの場合のゲイン(トランスインピーダンス)−周波数特性。

・赤がオープントランスインピーダンス。緑がクローズドトランスインピーダンス。空色がループゲイン≒NFB量。ピンクが1Vを基準値としたクローズドゲイン。

・オープントランスインピーダンスとクローズドトランスインピーダンスは、ΩをdB表示しているので、80dB=10kΩであるが、低域でオープントランスインピーダンスが83dB、クローズドトランスインピーダンスが81dBと、2dB程度の差しかない。よって、空色のループゲイン≒NFB量は2dB程度。

・通常、クローズドトランスインピーダンスは、帰還回路の抵抗値とイコールになるものだが、これはそうならないのだね。本当?

・クローズドゲインは、入力電流×クローズドトランスインピーダンスなので、この場合、1mA×81dB(11.2kΩ)=11.2V=21dB。

・出力トランスの関係で、低域は50Hz以下でレスポンスが低下している。

・まぁ、総じて、良さ気。
・次に、R6=1Ωとした場合。

・ボリュームのR6を絞って最小値にした場合に相当。

・ついでに、C1を0.001pF(無しに相当)、10pF、20pF、40pF、80pF、160pFとするパラメトリック解析。
低域でオープントランスインピーダンスは83dBと変わらない。

・クローズドトランスインピーダンスが65.5dBとなり、空色のループゲイン≒NFB量は17.5dB程度。

・クローズドゲインは、1mA×65.5dB(1.9kΩ)=1.9V=5.5dB。

・緑のクローズドトランスインピーダンスとピンクのクローズドゲインの800kHz付近のピークは、上からC1が0.001pF(無しに相当)、10pF、20pF、40pF、80pF、160pFの場合。

・よって
C1は、80pFは欲しい感じ。
・10kHz方形波応答でその辺を観じる。

・まず、R6=50kΩ、要すればボリューム最大の場合。

・C1=0.001pF(無しに相当)、20pF、40pF、80pFのパラメトリック解析で一気に観る。
・C1=0.001pF(無しに相当)の場合に僅かにオーバーシュート、アンダーシュートがあるように見えるが、問題とするまでもないので、この場合は、C1=0.001pF、要するにC1がなくても良い感じだ。
・次に、R6=1Ω、要すればボリューム最小の場合。

・まぁ、C1はこの場合のためにある。
・まず、C1=0.001pF(無しに相当)の場合。

・リンギングが生じる。

・が、発振までは至っていない。
・C1=20pFの場合。

・同じくリンギングが生じるが、その規模は小さくなった。
・C1=40pFの場合。

・さらにリンギングの規模は小さくなった。
・C1=80pFの場合。

・リンギングのみならず、オーバーシュート、アンダーシュートもなくなった。






・よって、C1はどうすべきか?

・実機を作る財力と気力があれば、答えは出る。

・が、両方ともない。(爆)
・トランスインピーダンス−周波数特性では分かりにくい?

・ならば、普通に、負荷8Ωの場合のゲイン−周波数特性。

・R6を1Ω(バリューム最小相当)、5kΩ、50kΩ(ボリューム最大)とするパラメトリック解析。
・赤がオープンゲインで、R6の値にかかわらず中域で23.2dB。

・緑がクローズドゲインで、R6が50kΩ時に21dB、5kΩ時に13.5dB、1Ω時に5.5dB。

・空色がループゲイン≒NFB量で、R6が50kΩ時に2dB、5kΩ時に9.6dB、1Ω時に17.5dB。

・オープンゲインが小さい。

・のは、対8Ω負荷用に、トランスでインピーダンス変換し、電圧を降下させているためで、トランス1次側電圧でそれを観ればピンクのとおり中域で50dB。

・26.8dBの差がある。F−2003の1次側3.5kΩと2次側8Ωの比は438倍、従って電圧比では21倍程度だから、≒26dB程度。まぁこんなところ。
・トランスインピーダンス−周波数特性では分かりにくい。

・と、同様の理由で、負荷を4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ω、80kΩ(負荷オープン相当)とした場合のゲイン−周波数特性。
・赤がオープンゲイン。空色がクローズドゲイン。緑がループゲイン≒NFB量。

・オープンゲインは、負荷が4Ωの場合35.5dB、8Ωの場合41dB、16Ωの場合46dB、32Ωの場合50.5dB、64Ωの場合54dB、80kΩ(負荷オープン相当)の場合60dB。

・クローズドゲインはどの場合も20dB。だが、負荷が80kΩ(負荷オープン相当)→4Ωの方向でやや小さくなっている。

・ループゲイン≒NFB量は、負荷が4Ωの場合16dB、8Ωの場合21dB、16Ωの場合26dB、32Ωの場合30.5dB、64Ωの場合34dB、80kΩ(負荷オープン相当)の場合40dB。
・IV変換抵抗R13を1kΩとした場合。
・オープンゲイン(赤)に変化はない。

ループゲイン(緑)≒NFB量が増加し、オープンゲインと同じになる


・したがって、クローズドゲイン(空色)はどの場合も0dBとなり、ボルテージフォロア動作となる。

・クローズドゲインの高域にピークはなく適切。
・位相補正のC1、C2を10pF、20pF、40pF、80pF、160pFとするパラメトリック解析でその辺を観じる。

・一番条件が悪いのは、ループゲイン≒NFB量最大となる負荷オープン時であるから、R16は80kΩ(負荷オープン相当)。
・位相補正のC1、C2が10pF、20pFの場合には、クローズドゲイン(空色)の10MHz付近にピークが生じる。

・ので、39pFで可だ。

・なお、この場合の位相補正値は正確には39pF+Q3(Q4)のCobである。

・が、モデルのQ2SA606のCobが現実の2SA606のCobを適切に反映しているかは保証の限りに非ず。

・よって、実機で試して調整するの他なし。









・なお、以上はただの占いである。信じてはいけない。




2014年7月28日








続・続き



・あまり向いていない。

・とは思いつつも、600円しない@1個には勝てない。(爆)
・右上は、Vds−Id特性。

・右は、Vgs−Id特性。

・いずれもデータシートのそれにかなり近い。
・これは、Vds−Id特性を、Vds=50V、Id=3Aの範囲内で観たもの。
・そして、電源電圧±22.5Vを想定しての動特性。

・比較のため、同条件でのSCT2080KE、SCTMU001Fの動特性もプロットする。

・SCT2080KE、SCTMU001FよりもVgsの立ち上がり電圧が大きく、gmは小さく、ON抵抗は大きい。

特にVgsの立ち上がり電圧が大きいのは痛い。終段アイドリング電流を150mA〜180mA流すためには5.5Vのバイアスは必要だ。また、gmも小さいので、同じ出力に要するドライブ電圧も大きくなる。

・要すれば、電源電圧を余り高く出来ないバッテリードライブのアンプには向いていない。(爆)

・ただ、CissやCrssはSCT2080KEやSCTMU001Fより小さい。

・まぁいいか。

・で、こんな感じ。

・SCT2450KEの所要バイアス電圧が大きいので、R9〜R12を調整。

・これで終段のアイドリング電流は150mA。

・R7が320Ωと大きくなった。のは、Q5とU2を、抵抗パラの200D5をシリーズにしてそれぞれ温度補償しようという趣旨。

・その結果、R8も大きくなる。

・結局、ただでさえ惜しいプラス電圧側の無効電圧がさらに大きくなり、当然最大出力も低下する。

・是非もなし。
・負荷を4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ω、80kΩ(負荷オープン相当)とした場合のゲイン−周波数特性。

・IV変換抵抗(ボリューム)R13は11kΩ。

・赤がオープンゲイン。空色がクローズドゲイン。緑がループゲイン≒NFB量。

・オープンゲインは、負荷が4Ωの場合34.5dB、8Ωの場合40.5dB、16Ωの場合45.5dB、32Ωの場合50.5dB、64Ωの場合54.5dB、80kΩ(負荷オープン相当)の場合62.5dB。

・クローズドゲインはどの場合も20dB。だが、負荷が80kΩ(負荷オープン相当)→4Ωの方向でやや小さくなっている。

ループゲイン≒NFB量は負荷が4Ωの場合15.5dB、8Ωの場合20.5dB、16Ωの場合25.5dB、32Ωの場合30dB、64Ωの場合34dB、80kΩ(負荷オープン相当)の場合42dB。

・と、上のSCTMU001Fで組んだ場合とほぼ同じ。

・IV変換抵抗(ボリューム)R13を1kΩとした場合。
・オープンゲイン(赤)に変化はなく、ループゲイン(緑)≒NFB量が増加し、オープンゲインと同じになって、クローズドゲイン(空色)はどの場合も0dBとなり、要すればボルテージフォロア動作となる。

・この場合でもクローズドゲインの高域にピークはなく、位相補正のC1、C2は20pFで良さ気。
・20kHz正弦波応答。

・負荷はパラメトリックに4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ω、80kΩ(負荷オープン相当)。
・負荷4Ω時に、プラス側は8Vで飽和してしまう。それが負荷8Ωでは9V、負荷16Ωでは10V。

・負荷抵抗が小さくなると電流を多く流すことが必要なのだが、その分所要ドライブ電圧が大きくなり、結果、電源電圧の制約からこうなる。

・是非もなし。

・まぁ、我がウサギ小屋で鳴らす分には、この程度の出力があれば十分だろうて。(爆)
・10kHz方形波応答。
・負荷はパラメトリックに4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ω、80kΩ(負荷オープン相当)。

・問題なし。
・これは、IV変換抵抗R13(ボリューム)を1kΩとした場合。

・負荷は同様パラメトリックに4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ω、80kΩ(負荷オープン相当)。

・問題なし。
・と、シミュレートしているうちに基板が出来上がってきた。




2014年8月12日








続々・続き



・ケーシングして粗調整する。

・出力に8Ωのダミーロードを接続し、入力は1kΩ抵抗でターミネイトする。などという手間はない。出力も入力も何もつながないオープン状態で粗調整。

・と、何の問題もなく動作する。

・ので、早速音を聴いてみる。

・う〜ん、次元が違う!!

・と、言えるほど感受性の高い耳は持ち合わせていない。(爆)






・が、至極まともな音がする。彫が深く明瞭な感じ。

・しばし動かしながら最終調整。
・回路。

・実のところ、バッテリーを買い足していないので、既存のリチウムイオンバッテリー±15Vを電源として粗調整。(爆)

・終段SCT2450KEのアイドリング電流は取りあえず100mA程度としておこう。

・SCT2450KEの温度補償はサーミスタ200D5で行う。で、これにパラにする抵抗は330Ωで良さ気。なので、当面そうしておこう。

・また、温度補償的にドライバーの2SC960を野放しにする勇気はないので、これも220Ωをパラとした200D5で温度補償。

・結果、スイッチオンで瞬間ビックリ大電流が流れることもなく、静かにアイドリング電流が設定値まで増加して止まる。まぁまぁかな。

・なお、終段SCT2450KEのゲートに発振防止用の抵抗は入れていない。のだが、何の問題もないみたい。
・ところで、この回路では、二段目差動アンプが前段からプッシュプルにドライブされていない。

・のに、その共通エミッタが定電流回路ではない。

・のは、いかがなものか?

・という考えもある。

・ので、二段目差動アンプを前段からプッシュプルにドライブする回路を考える。

・それが右。

・これで終段のアイドリング電流は150mA。
・負荷を4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ω、80kΩ(負荷オープン相当)とした場合のゲイン−周波数特性。

・IV変換抵抗(ボリューム)R13は11kΩ。

・赤がオープンゲイン。空色がクローズドゲイン。緑がループゲイン≒NFB量。

・結果、オープンゲインも、クローズドゲインも、ループゲイン≒NFB量も、そもそもの回路とほとんど同じ。



・よく見ると、20MHz付近にポールが出来たのか、それ以上の領域におけるゲイン下降とその位相回転が急になっている。

・が、
0dB以下の領域なので特にどうということはない。
・IV変換抵抗(ボリューム)R13を1kΩとした場合。

・これもそもそもの回路とほとんど同じ。
・動作対称性が良くなればひずみ率は良くなるはず。

・なので、ひずみ率を占ってみる。
・入力0.5mA、1kHz正弦波。

・右は負荷8Ω時。

・で、ひずみ率は、

・負荷8Ωで、Total Harmonic Distortion: 0.244681%

・負荷4Ωで、Total Harmonic Distortion: 0.789819%
・そもそもの回路ではどうなのかが分からなければ評価のしようがない。

・ので、そもそもの回路の方。

・条件は当然同じにする。
・結果、右は負荷8Ω時。

・で、ひずみ率は、

・負荷8Ωで、Total Harmonic Distortion: 0.241684%

・負荷4Ωで、Total Harmonic Distortion: 0.801390%



・余り変わらない。

・し、シミュレーションでは無視したが、初段の電流設定もやや面倒。

・採用する意味はないかな。
・ならば、二段目差動アンプの共通エミッタを定電流回路にするのはどうか。

・抵抗に代えて、最も性能の良い定電流回路である電流源でシミュレート。
・結果、右は負荷8Ω時。

・で、ひずみ率は、

・負荷8Ωで、Total Harmonic Distortion: 0.246655%

・負荷4Ωで、Total Harmonic Distortion: 0.795176%



・こちらも余り変わらない。



・ので、そもそもの回路のままで良い。

・というのが、そもそもの判断。
・なのだが、再度シミュレーションのFFTを観ると、そもそもの回路では10kHz以上の領域に暴れがあるのがちょっと気になった。

・ので、こうしてみる。

・改造も手間は僅か。だし、これで僅かでも対称性が高まる。はず。



・音的にどうか?

・良さ気?(爆)
・さて、買い足したバッテリーもやって来たので、実機の方も電源を±22.5Vに上げて再調整。

・終段SCT2450KEには200mAのアイドリング電流を流すことにしよう。シミュレーターでは右の定数で200mA。出力のオフセットは0V。

・ついでに、入力のオフセットも調整出来るようにしようか。シミュレーターではR1=6.94kΩで入力オフセットは0V。

・実機のQ7、Q8は、2SC2240ではなく2SC2291であるので、R1は現物合わせで調整。
・負荷を4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ω、80kΩ(負荷オープン相当)とした場合のゲイン−周波数特性。

・IV変換抵抗(ボリューム)R13は11kΩ。

・赤がオープンゲイン。空色がクローズドゲイン。緑がループゲイン≒NFB量。

・オープンゲインは、負荷が4Ωの場合36.4dB(34.5dB)、8Ωの場合42dB(40.5dB)、16Ωの場合47.3dB(45.5dB)、32Ωの場合51.9dB(50.5dB)、64Ωの場合55.7dB(54.5dB)、80kΩ(負荷オープン相当)の場合62.4dB(62.5dB)。

・()内の数値は、終段SCT2450KEに150mAのアイドリング電流を流した場合の数値だが、これを200mAとしたことにより終段のゲインが増え、負荷オープン相当時を除いて、オープンゲインが1.9dB〜1.2dB増加している。

・クローズドゲインはどの場合も20dB。だが、負荷が80kΩ(負荷オープン相当)→4Ωの方向でやや小さくなっている。

ループゲイン≒NFB量は負荷が4Ωの場合17dB(15.5dB)、8Ωの場合22dB(20.5dB)、16Ωの場合26.9dB(25.5dB)、32Ωの場合31.3dB(30dB)、64Ωの場合35dB(34dB)、80kΩ(負荷オープン相当)の場合41.6dB(42dB)。(()内の数値は上に同じ。)
・IV変換抵抗(ボリューム)R13を1kΩとした場合。

・オープンゲイン(赤)に変化はなく、ループゲイン(緑)≒NFB量が増加し、オープンゲインと同じになって、クローズドゲイン(空色)はどの場合も0dBのボルテージフォロア動作。

・位相補正のC1、C2は20pFで良さ気。
・FFTでひずみ率を占う。

・入力0.5mA、1kHz正弦波。
・右は負荷8Ω時。

・で、ひずみ率は、

・負荷8Ωで、Total Harmonic Distortion: 0.150273%

・負荷4Ωで、Total Harmonic Distortion: 0.531100%

・オープンゲインが増加しNFB量が増えた故か、これまでで最良。
・ついでだが、このパワーIVCは、入力にターミネート抵抗を入れても、アンプの動作が変わったり、不安定になったり、逆に安定になったりする、ということはない。

・右は、入力のターミネート抵抗R16を1kΩ、2kΩ、4kΩ、8kΩ、16kΩとし、そして帰還抵抗(=IV変換抵抗)R13を11kΩ、1kΩとする、ダブルパラメトリック解析。

・出力はオープン。
・結果が右。

・赤がオープンゲインだが、入力のターミネート抵抗R16が1kΩ、2kΩ、4kΩ、8kΩ、16kΩで、それぞれ帰還抵抗(=IV変換抵抗)R13が11kΩ、1kΩの場合の合計10の場合のオープンゲインが重なっているのだが、皆同じなので1本にしか見えない。

・青はクローズドゲインだが、20dB強なのがR13が11kΩの場合で、0dBなのがR13が1kΩの場合。いずれも入力のターミネート抵抗R16が1kΩ、2kΩ、4kΩ、8kΩ、16kΩの5つの場合が重なっているのだが、これも1本にしか見えない。

・緑がループゲインで、オープンゲイン(赤)にほぼ重なっているのがR13が1kΩの場合であり、42dB程度なのがR13が11kΩの場合。いずれも入力のターミネート抵抗R20が1kΩ、2kΩ、4kΩ、8kΩ、16kΩの5つの場合が重なっているのだが、これも1本にしか見えない。

・要するに、このアンプは、入力のターミネート抵抗でアンプの動作が変わったり、アンプが不安定になったり、逆に安定になったりする、ということはない。すなわち、実際の使用に即して言えば、このアンプは、前段のプリアンプやチャンネルフィルターの出力インピーダンスにより、アンプの動作が変わったり、アンプが不安定になったり、逆に安定になったりする、ということはない。

・この点は、入力にグリッド接地を採用しているNo−233等の真空管パワーIVCに同じ。
・さらについでだが、このパワーIVCは、入力のケーブルの容量等の入力にパラに入る容量分によってアンプの動作が影響を受ける度合いが、相対的に小さい。

・右は、入力にパラに入る容量を100pF、200pF、400pF、800pF、1600pFとし、そして帰還抵抗(=IV変換抵抗)R13を11kΩ、1kΩとする、ダブルパラメトリック解析。
・結果が右。

・見方は上と同じ。

・帰還抵抗R13が11kΩの場合は、入力にパラに入る容量が100pF、200pF、400pF、800pF、1600pFとなっても、オープンゲイン(赤)もクローズドゲイン(青)もループゲイン(緑)もそれぞれ重なって1本にしか見えず、入力容量の影響を受けないことが分かる。

・帰還抵抗R13が1kΩの場合には、クローズドゲイン(青)の2MHz以上の領域でその影響が出ている。入力のパラ容量が1600pFの場合に7MHz付近で2.5dBのピークを生じている。
・この影響を、10kHz方形波応答で観る。

・出力はオープン。入力にC3=0.001pF(なしに相当)、1600pFをパラとするパラメトリック解析。
・結果。

・二つの波形が重なっている。赤の下にC3=0.001pF(なしに相当)をパラにした場合の緑の応答波形が隠れているのだが、見えない。

・ので、下に時間軸を拡大して、98uSから102uSの状況をプロット。

・これで現れたC3=0.001pF(なしに相当)の立ち上がり時の方形波応答波形(緑)は、何も問題がない。

・赤がC3=1600pFをパラにした場合だが、立ち上がり、立ち下がりにリンギングが生じている。

・が、2波で収束し発振には至らない。

・と、1600pFがパラになっても影響はこの程度。

・なので、モガミ2497による何十mのラインケーブルを使う方は格別だが、ウサギ小屋の我が家では、ラインケーブルの長さに気を遣うことはない。し、ケース内の信号ケーブルも、作業が楽なので細いソニーのOFCケーブル。(爆)


・と、順調に調整が進んでいたのだが、終段アイドリング電流の調整中に、ハタと気づいた。(^^;

・これでは温度補償が働かないわなぁ(^^;  ← アホウ

・サーミスタの置き場所も変える必要がある。

・が、そうすると基板の作り直しが不可避。


・では、こちらにしよう。

・初段をコンプリメンタリーベース接地とし、マイナス側の出力をカレントミラーで折り返して、その出力とプラス側の出力で二段目差動アンプをプッシュプルドライブする。

・初段の動作電流は、R1とR4でQ8とQ10の電流を調整することにより設定する。

・右のシミュレーションでは、R1=R4=7.35kΩで適切な値になった。が、入力のオフセットは−2.7mV。

・実機では現物合わせでこれらを調整することになる。ちと面倒。

・シミュレーターでは右の定数で終段SCT2450KEのアイドリング電流は200mA。出力のオフセットは0V。
・負荷を4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ω、80kΩ(負荷オープン相当)とした場合のゲイン−周波数特性。

・IV変換抵抗(ボリューム)R13は11kΩ。

・赤がオープンゲイン。空色がクローズドゲイン。緑がループゲイン≒NFB量。

・オープンゲインは、負荷が4Ωの場合36.4dB、8Ωの場合42dB、16Ωの場合47.3dB、32Ωの場合51.9dB、64Ωの場合55.6dB、80kΩ(負荷オープン相当)の場合62.4dB。

・クローズドゲインはどの場合も20dB。だが、負荷が80kΩ(負荷オープン相当)→4Ωの方向でやや小さくなっている。

ループゲイン≒NFB量は負荷が4Ωの場合17dB、8Ωの場合22dB、16Ωの場合26.8dB、32Ωの場合31.3dB、64Ωの場合35dB、80kΩ(負荷オープン相当)の場合41.6dB。

・と、二段目に定電流回路を採用した上の場合と殆ど同じ。
・IV変換抵抗(ボリューム)R13を1kΩとした場合。

・オープンゲイン(赤)に変化はなく、ループゲイン(緑)≒NFB量が増加し、オープンゲインと同じになって、クローズドゲイン(空色)はどの場合も0dBのボルテージフォロア動作。

・位相補正のC1、C2は20pFで良さ気。

・と、これも同じ。

・なのは、初段の負荷抵抗、二段目の動作電流、そして終段の動作電流が同じなのだから当たり前。
・FFTでひずみ率を占う。

・入力0.5mA、1kHz正弦波。
・右は負荷8Ω時。

・で、ひずみ率は、

・負荷8Ωで、Total Harmonic Distortion: 0.153577%

・負荷4Ωで、Total Harmonic Distortion: 0.536900%

・と、二段目に定電流回路を採用した上の場合に肉薄。小数点3桁の部分で僅かに及ばない。

・この回路で行こうか。
・が、初段の動作電流と入力オフセットを、この回路で調整するのはかなり難儀だろう。

・で、実用的な回路はこう。

・初段の動作電流はQ8のバイアス回路で調整、入力オフセットはR17で調整する。

・シミュレーションでは、この回路定数で入力のオフセットも出力オフセットも0V。終段SCT2450KEのアイドリング電流は200mA。
・負荷を4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ω、80kΩ(負荷オープン相当)とした場合のゲイン−周波数特性。

・IV変換抵抗(ボリューム)R13は11kΩ。

・赤がオープンゲイン。空色がクローズドゲイン。緑がループゲイン≒NFB量。

・オープンゲインは、負荷が4Ωの場合36.5dB、8Ωの場合42dB、16Ωの場合47.3dB、32Ωの場合51.9dB、64Ωの場合55.6dB、80kΩ(負荷オープン相当)の場合62.4dB。

・クローズドゲインはどの場合も20dB。だが、負荷が80kΩ(負荷オープン相当)→4Ωの方向でやや小さくなっている。

ループゲイン≒NFB量は負荷が4Ωの場合17dB、8Ωの場合22dB、16Ωの場合26.8dB、32Ωの場合31.3dB、64Ωの場合35dB、80kΩ(負荷オープン相当)の場合41.6dB。

・と、殆ど同じ。

・が、オープンゲインとクローズドゲインの20Hz以上での下降が上の場合のように急にはならない。

・何故か?知らない。
・IV変換抵抗(ボリューム)R13を1kΩとした場合。

・オープンゲイン(赤)に変化はなく、ループゲイン(緑)≒NFB量が増加し、オープンゲインと同じになって、クローズドゲイン(空色)はどの場合も0dBのボルテージフォロア動作。

・位相補正のC1、C2は20pFで良さ気。

・と、これも同じ。
・FFTでひずみ率を占う。

・入力0.5mA、1kHz正弦波。
・右は負荷8Ω時。

・で、ひずみ率は、

・負荷8Ωで、Total Harmonic Distortion: 0.152891%

・負荷4Ωで、Total Harmonic Distortion: 0.534832%

・と、二段目に定電流回路を採用した上の場合には僅かに及ばないが、上の場合より僅かに良い結果。

・なので、この回路で行こうか。



・が、そうするとこれも基板の作り直しは必至。
・なので、当初の回路で良いのでは?(爆)

・で、右。

・この回路定数で、シミュレーションでは入力のオフセットも出力オフセットも0V。終段SCT2450KEのアイドリング電流は200mA。
・負荷を4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ω、80kΩ(負荷オープン相当)とした場合のゲイン−周波数特性。

・IV変換抵抗(ボリューム)R13は11kΩ。

・赤がオープンゲイン。空色がクローズドゲイン。緑がループゲイン≒NFB量。

・オープンゲインは、負荷が4Ωの場合36.5dB、8Ωの場合42dB、16Ωの場合47.3dB、32Ωの場合51.9dB、64Ωの場合55.7dB、80kΩ(負荷オープン相当)の場合62.4dB。

・クローズドゲインはどの場合も20dB。だが、負荷が80kΩ(負荷オープン相当)→4Ωの方向でやや小さくなっている。

ループゲイン≒NFB量は負荷が4Ωの場合17dB、8Ωの場合22dB、16Ωの場合26.9dB、32Ωの場合31.3dB、64Ωの場合35dB、80kΩ(負荷オープン相当)の場合41.7dB。

・と、上の二つの場合と殆ど同じ。
・IV変換抵抗(ボリューム)R13を1kΩとした場合。

・オープンゲイン(赤)に変化はなく、ループゲイン(緑)≒NFB量が増加し、オープンゲインと同じになって、クローズドゲイン(空色)はどの場合も0dBのボルテージフォロア動作。

・位相補正のC1、C2は20pFで良さ気。

・と、これも同じ。

・当たり前。
・FFTでひずみ率を占う。

・入力0.5mA、1kHz正弦波。
・右は負荷8Ω時。

・で、ひずみ率は、

・負荷8Ωで、Total Harmonic Distortion: 0.140472%

・負荷4Ωで、Total Harmonic Distortion: 0.532364%

・と、負荷8Ω時には、二段目に定電流回路を採用した上の場合よりも良いという結果。

・負荷4Ω時にはに二段目に定電流回路を採用した上の場合には僅かに及ばないが殆ど同じ。

・えぇぇえ・・・






・なので、結論。

・これでいいや。

・で、最初に戻った。(爆)
・回路

・TR2に流す電流を決めるそのコレクタ抵抗は12kΩと2kΩの半固定抵抗となった。これで入力オフセットを0Vに調整する。

・想定より所要の抵抗値はかなり大きくなった。TR1に流れる電流値と同じ電流値となるように設定するというものではないのだね。あるいは、デュアルTRなのに余り特性が揃っていないのか。

・全体の動作の起点となる、初段のツェナーダイオード、HZ3C2に流す電流値を設定する抵抗の値を4.7kΩから3.9kΩに変更。

・定電圧値をやや上げて、初段の動作電流値をやや増やしたもの。アンプの電圧利用効率からすれば馬鹿な変更。(^^;

・それにしてもHZ3C2の電圧は、流す電流値によってかなり変動する。のは困ったもの。

・TR9に貼り付けた200D5とパラにする抵抗の抵抗値を330Ωから120Ωに変更。

・要すれば、温度補償の利きを弱めた。これでも補償は過剰側で安全。

・TR7に貼り付けた200D5とそのパラの抵抗220Ωによる温度補償が過々剰かもしれない。

・ので、この辺は今後また調整する可能性がある。

・終段のSCT2450KEには、とりあえず200mA程度のアイドリング電流を流す。が、電流がもったいない気もする。ので、音も勘案してもっと減らすかも知れない。



・下は、電源及び保護回路。

・既に15V用に作ってあったものを流用。なので定数変更は最低限。
・さて、音だが、

・駄耳の私がとやかく言ってもしょうがない。

・し、何か書くために比較試聴しようか、と思うのだが、これで聴いていると、聴くことに引き込まれて、そんな面倒なことはしたくなくなる。

・まぁ、悪くはないのではないかな。




2014年8月31日








続々々・続き



・先生の作例のように、電流出力プリアンプも電流出力チャンネルフィルターも、低い電源電圧のものにしておけば良いものを、私は余計なことをして、それらの電源電圧を±18Vとしている。

・ので、入力にパラにダイオード1S1588を追加した。

・何故?

・電流出力の機器は、それに繋がる機器の状況にかかわらず、それに電流を流す。受ける機器側の都合で接続点の電圧が上下した場合、電流出力の機器側は、それ以上に出力電圧を上げ、あるいは下げて、電流を流そうとする。電流出力の機器とはそういうものである。

・このパワーIVCも、通常動作時には、電流出力の機器からの電流は、IV変換抵抗(ボリューム)を経由し、終段のTR9、TR10に吸い込む。したがって、入力点の電圧は殆ど0Vのままだ。

・が、パワーIVCの電源を切って、その電流ルートを遮断したらどうなるか?

・実は、それが問題で、その場合電流出力の機器からの電流によって入力点の電圧が大きく上下するのである。

・入力点の電圧が大きく上下する、といっても、電流出力プリアンプや電流出力チャンネルフィルターは、いくら電流出力でも出せる電圧はその電源電圧を超えることは不可能だ。だから、その電源電圧が低ければ問題はない。

・が、私の電流出力プリアンプと電流出力チャンネルフィルターは電源電圧が±18Vなので、最悪±15V程度の電圧が出力され、パワーIVCの入力にかかることを想定する必要がある。

・そうすると、例えば、このパワーIVCのTR1のVeboは5V(大体のTRはそんなもの)なのに、入力にプラス5V以上の電圧がかかって、TR1のベース−エミッタ間に5V以上の逆電圧がかることが想定される。

・それはまずい。

・ので、そのようなことの起こらないように、入力点の電圧を制限する保護ダイオードを追加。
 
・右は、通常動作時。

・負荷はオープン。

・入力は1mA、1kHz正弦波。
・その場合の、上がアンプ出力波形。

・下が、アンプ入力点の電圧(緑)、TR7のベース電圧(ピンク)、そして、TR7のベースーエミッタ間電圧(赤)。

・この場合、TR7のベース−エミッタ間電圧(赤)は、TR7のベース電圧(ピンク)に重なっていて、ピンクにしか見えない。

・アンプ入力点の電圧(緑)は、実は正弦波なのだが、このスケールでは0mV一定にしか見えない。

TR7のベース電圧(ピンク)、そして、TR7のベース−エミッタ間電圧(赤)は640mV程度。

・これが正常時動作。
・電源電圧をカットした場合。

・こうすると終段のQ5、Q6、U1、U2は一切の電流を通さない。
・それでも出力先の機器に信号電流を流すのが、前段の電流出力機器。

・その結果がこう。

・問題は下のグラフで、アンプ入力点の電圧(緑)が、プラス側では最大20V、マイナス側では最大−4.5Vになってしまう。

・そのため、TR7のベース−エミッタ間電圧がマイナス19V(エミッタ電圧に対してベース電圧が19V低い状態)にも達している。

・それはTR7のベース−エミッタ間の逆耐圧を超えているので、TR7は壊れてしまう。

・勿論、このシミュレーションでは電源電圧の制約に無縁の出力インピーダンス無限大の電流源を使っているために、アンプ入力点の電圧(緑)がここまで上下するのであって、実際の電流出力機器は、その電源電圧の制約の範囲内の電圧までしか出力出来ないので、ここまではいかない。
・が、私の電流出力プリアンプと電流出力チャンネルフィルターは、電源電圧が±18Vなので、アンプ入力点の電圧(緑)が5V以上になることを想定する必要がある。

・ので、アンプ入力にその入力点の電圧を制限するために保護ダイオードを入れる。
・そうすると、アンプ出力電圧を含め、全ての電圧が±600mV以内に収まる。

・これで全く問題がない。

・現実には、電源電圧の高い電流出力機器をつないで、このパワーIVCで大きな音を出している際に、急に停電したり、電源を切ってしまったりしなければ起こりえない状況なのだが、まぁ、こうしておこう。
・無論、通常動作については、
・何の影響もない。
・が、保護ダイオードをパワーIVC側に取り付けるのは止めた。

・原因者たる、電流出力機器側に取り付ける。

・全てのパワーIVCに保護ダイオードを取り付けることを考えれば、当然そうすべきだわなぁ。(爆)

・が、電流伝送方式DACは、出力にパラにボリュームが入っているので、こうする必要はない。

・また、電圧出力の機器に1kΩなりの抵抗を取り付けて電流出力としたものも、こうする必要はない。

・で、私の電流出力機器でこうしなければならないのは、電流出力チャンネルフィルタ−。


















・その状況が下。
・これは、パワーIVCの電源を切った場合の想定。

・緑はカレントバッファそのものの出力、赤が高音側のパワーIVCの入力点の電圧、ピンクがその出力、空色が低音側のパワーIVCの入力点の電圧、青がその出力。

・チャンネルフィルターの出力部に取り付けた保護ダイオードにより、その出力電圧=パワーIVCの入力点の電圧は±0.6V以内に制限され、パワーIVCの出力点の電圧も同様。
・これは、パワーIVCの電源をオンとした正常動作状態。

・チャンネルフィルターの出力電圧=パワーIVCの入力点の電圧(赤&水色)はほぼ0V。

・カレントバッファそのものの出力(緑)、高音側及び低音側の二つのパワーIVCの出力(ピンク&青)とも、800Hzクロスの極めて的確な動作。
チャンネルフィルターの出力電圧=パワーIVCの入力点の電圧(赤&水色)はほぼ0V。

・って、参考までにそれを見るとこう。












・訂正

・改めて先生のNo−219、電流伝送チャンネルフィルターを見たら、その電源電圧は±15V。

・もっと低電圧と勘違いしていた。ので、訂正。



・なお、以上のシミュレーションはただの占い。信じてはいけない。



2014年9月3日







ちょっと試聴



・DENON PCM DEGITAL が、いかにもCD出初めのころの一枚。

・なのに、こんなに良い音がして委員会。(爆)

・素晴らしい。

・まるで今眼前で演奏しているような臨場感。

・ただただ演奏に引き込まれて聴くのみ。
・これも上に同じ。

・素晴らしい。

・あきれるほどに生々しい。

・デジタルの能力は最初から凄かったのだね。

・こっちがその能力に追いつかなかっただけ・・・
・至福の時だ。

・デューク・エリントン、ジョー・パス、レイ・ブラウン、ルイ・べルソンが降臨して目の前で演奏してくれるなんて・・・

・イェイ! (^^;
・こちらは、泣けるねぇ・・・



・サラ・ヴォーン



How long has this been going on ?
・新しいものも聴く。



・ハイレゾの一枚。



・そこにオーケストラがいる。(爆)

・まるでステージを見ているかのようだ。

・そら恐ろしいほどのクリアな臨場感だね。
・半世紀も前の1961年のビル・エバンス。

・それが今ここに蘇る。

・このCDには、演奏の合間のビッレッジ・バンガードの会場の音がカットされずに冗長に収められていたりする。

・自分がタイムスリップしているような錯覚に陥る。






・で、Sic−MOSはどうか?

・私のバイポーラトランジスタによるパワーIVCの音より、一層クリアでコントラストが明瞭かもしれない。が、良い勝負だ。

・と、言っておこう。(^^;

・が、もう一台Sic−MOSパワーIVCを作って、純粋Sic−MOSパワーIVCマルチにしたら、駄耳の私でも結果がはっきり分かってしまうかも知れない。(爆)




2014年9月15日








CSPP



・近頃は本当に飽き飽き。

・たまには、変わったものもやって欲しい。

・ので、クロスシャントプッシュプル(CSPP)にしてみる。



・シングルエンデドプッシュプル(SEPP)しか見たことがない目からすれば、何だこれは?

・これで音が出るの?

・と言うより、まともに動作するの?

・と、思ってしまう。(爆)



・のだが、この回路にするとV1に高い電圧は不要なので、ニッケル水素充電池4本想定の4.8Vとしてある。これに伴いR1を変更。R3、R8は半固定抵抗の微修正。

・結果、右の定数で、入力のオフセットも出力のオフセットも0Vであり、終段SCT2450KEのアイドリング電流は200mA。

・と、まともに動作する。

・不思議。(^^;
・どうでも良いことだが、近頃、ヤマハがフローティング&バランス・パワーアンプとして、A-S2000、3000などで採用している出力段の回路もこの仲間。



・この終段CSPP回路も、右のように書き換えるとフローティング&バランス・パワーアンプの解説図に同じ。

・が、こちらは出力段の一方の電源、V2をアース基準とし、フローティングなのはV3だけの不平衡型CSPPであり、全ての電源をアースから独立させたというヤマハのフル平衡型CSPP?とは、その点で異なる。



・が、何か期待できそう・・・(爆)

・我らが終段完全対称型(同極性SEPP)より、良さ気か?

・なので、早速、負荷を4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ω、80kΩ(負荷オープン相当)とした場合のゲイン−周波数特性を観る。
・先ず、IV変換抵抗(ボリューム)R13が11kΩの場合。

・赤がオープンゲイン。空色がクローズドゲイン。緑がループゲイン≒NFB量。

・オープンゲインは、負荷が4Ωの場合36.3dB、8Ωの場合42dB、16Ωの場合47.2dB、32Ωの場合51.9dB、64Ωの場合55.7dB、80kΩ(負荷オープン相当)の場合62.9dB。

・クローズドゲインはどの場合も20dB。だが、負荷が80kΩ(負荷オープン相当)→4Ωの方向でやや小さくなっている。

ループゲイン≒NFB量は負荷が4Ωの場合16.9dB、8Ωの場合21.9dB、16Ωの場合26.8dB、32Ωの場合31.3dB、64Ωの場合35dB、80kΩ(負荷オープン相当)の場合42dB。

・と、終段完全対称型(同極性SEPP)の場合と殆ど同じ。
・IV変換抵抗(ボリューム)R13を1kΩとした場合。

・オープンゲイン(赤)に変化はなく、ループゲイン(緑)≒NFB量が増加し、オープンゲインと同じになって、クローズドゲイン(空色)はどの場合も0dBのボルテージフォロア動作。

・位相補正のC1、C2は20pFで良さ気。

・と、これも終段完全対称型(同極性SEPP)の場合と同じ。

・負荷抵抗値に対するオープンゲインの拡大比例度が僅かに良くはなっている。

・が、まぁ、同じ。
・20kHz正弦波応答を観る。

・負荷はパラメトリックに4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ω、80kΩ(負荷オープン相当)。
・負荷4Ω時に、プラス側マイナス側とも11.5Vで飽和する。8Ωでは12.8V、16Ωでは14V、32Ωでは15V、64Ωでは15.8V。

・負荷抵抗が小さくなると電流を多く流すことが必要なのだが、その分所要ドライブ電圧が大きくなり、結果、電源電圧の制約からこうなる。

・SEPPのオリジナルでは、プラス側が負荷4Ωでは8Vで、負荷8Ωでは9V、負荷16Ωでは10Vで飽和した。

・が、SEPPのオリジナルも前段プラス側の電源電圧を+4.8Vすればこうなる。
・10kHz方形波応答はどうか。
・負荷はパラメトリックに4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ω、80kΩ(負荷オープン相当)。

・全く問題ないね。
・これは、IV変換抵抗R13(ボリューム)を1kΩとした場合。

・負荷は同様パラメトリックに4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ω、80kΩ(負荷オープン相当)。

・問題なし。
・と、オリジナルの出力段同極性SEPPと全く変わらない動作をすることが明らか。

・で、もしCSPP出力段の対称性が同極性SEPPより良ければ歪率に表れるはず。

・なので、FFTでひずみ率を占う。

・入力0.5mA、1kHz正弦波。
・結果。

・右は負荷8Ω時。

・で、ひずみ率は、

・負荷8Ωで、Total Harmonic Distortion:0.144635%
・負荷4Ωで、Total Harmonic Distortion:0.544601%

・同極性SEPPのオリジナルが

・負荷8Ωで、Total Harmonic Distortion:0.140472%

・負荷4Ωで、Total Harmonic Distortion:0.532364%


・なんと、このCSPPの方が若干悪い。(爆)

・と言うか、同じと解すべきかな。

・要すれば、不平衡型CSPPは、同極性SEPPと本質的に違いはないのだね。と言うか、同じものだね。



・となると、フローティング電源は左右共用出来ないので、その分多くの電源(バッテリー)が必要になる不平衡型CSPPを、同極性SEPPに替えて採用するという解はない。

・面白そうだったのに、残念。



2014年9月20日








シングルドライブ



・もう殆ど興味も失せていたのだが、ようやくちょっとピクッとした。(爆)

・ので、No-239風。

・モデルが適当なので、R11をほぼ0Ωにしてもオフセットが調整しきれず、−93mVの出力オフセットがある。結果、終段のアイドリング電流はU1が296mA、U2が310mAとなっている。

・が、まぁいいか。
・早速、ミドルブルック法でオープンゲイン等を観る。
・負荷{r}を4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ω、80kΩ(負荷オープン相当)にした場合のパラメトリック解析。赤がオープンゲイン、青がクローズドゲイン、緑がループゲイン≒NFB量。

・オープンゲイン(赤)とループゲイン(緑)は、下から上に負荷{r}が4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ω、80kΩ(負荷オープン相当)の場合。クローズドゲイン(青)はいずれの場合も同じなので一本になっている。

・オープンゲイン(赤)は、低域において負荷4Ωで38.4dB、負荷8Ωで44.3dB、負荷16Ωで50.1dB、負荷32Ωで55.7dB、負荷64Ωで60.9dB、負荷80kΩ(負荷オープン相当)で76.5dB。No-239は計算値で負荷8Ωでオープンゲイン=46.4dB、そのfc=106Khzとある。が、こちらでは44.3dBでそのfc≒80kHz。まぁまぁかな。

・クローズドゲイン(青)は、低域で0dB。反転アンプによるIVCは、電流出力機器(出力インピーダンス∞)でドライブした場合はボルテージフォロア動作、すなわちNFB量が100%となるので、クローズドゲイン(青)は0dB。で、ループゲイン(緑)≒NFB量は皆低域でオープンゲイン(赤)に等しい。となる。

・アンプの安定性はループゲイン(緑)が高域で0dBに沈むポイントにおけるその位相(緑の点線)を観れば良い。4Ωの場合3.5MHz、80kΩ(負荷オープン相当)の場合で20MHzと負荷が大きくなるほどに利得交差周波数が高域に移動するが、その位相も負荷が大きくなるほどに位相の戻りが高域まで伸び、どの場合も−120°以内に収まっている。ので、どの負荷の場合も、負荷オープンでも安定だろう。STC2450KEのCrssによる位相補正が上手く効いている。この結果からは、出力にパラに0.1uF+10Ωのゾベルは不要ということになるが、まぁあった方が安全ではある。
・IV変換抵抗=帰還抵抗を5.1kΩにして同様に観る。
・オープンゲイン(赤)、クローズドゲイン(青)、ループゲイン(緑)とも殆ど変化はないが、ループゲインの位相(緑の点線)の高域の戻りが少なくなっている。

・IV変換抵抗=帰還抵抗の大きさはこの辺が限界かな。



・こうしてみると、シングルドライブ方式とはいえ、オープンゲインは案外大きい。No−223と同等だ。まぁ、gmの大きい2SK214のgmをフルに使っているのだから当然か。
・が、前に繋がる機器が、電流出力と言っても電圧出力機器に1kΩ等の抵抗をシリーズにして電流出力化したものである場合など出力インピーダンスが低いものである場合には、ループゲイン≒NFB量が小さくなるから、反転アンプ方式のIVCのオープンゲインはある程度大きくしておく必要があるのだろう。

・ので、前置機器の出力インピーダンスを1kΩとした場合を観る。
・オープンゲイン(赤)に変化はないが、クローズドゲイン(青)=24.1dB((1k+15.1k)/1k)となるので、ループゲイン(緑)≒NFB量もそれぞれ24.1dB減少して負荷4Ωでは15dB程度になる。

・やはり、この場合オープンゲインはある程度大きい必要がある。

・ついでだが、この場合のループゲインの位相(緑の点線)を観ると明らかなように、位相補正的にはかなり安定方向になる。入力にターミネート抵抗を入れると反転アンプ式パワーIVCが安定になるのは、この場合と同じ理屈。
・方形波応答を観る。

・入力は1mAp−p、10kHz方形波。


・負荷R13を4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ω、80kΩ(負荷オープン相当)のパラメトリック解析で一気に観る。

・帰還回路のR12はまず15.1kΩの場合。
・負荷が4Ωの場合と8Ωの場合にオーバーシュートがある。が、この程度なら許容範囲。
・帰還回路のR12が5.1kΩの場合。

・この場合も負荷が4Ωと8Ωの場合にオーバーシュート、アンダーシュートがある。が、この程度なら許容範囲だろう。

・要すれば、負荷が小さくなるほどに、また、IV変換抵抗=帰還抵抗が小さくなるほどに高域の位相余裕が少なくなる、ということ。

・上のループゲインの利得交差周波数におけるその位相回転具合からは理解できない結果だが、何故か?

・知らない。(爆)
・FFTでひずみ率を見る。

・入力0.5mA、1kHz正弦波。

・R12のIV変換抵抗=帰還抵抗は11kΩ。としたのは、我がパワーIVCとの比較のため。
・右は負荷8Ω時。

・で、ひずみ率は、

・負荷8Ωで、Total Harmonic Distortion: 0.012106%

・負荷4Ωで、Total Harmonic Distortion: 0.046741%

・素晴らしいね。さすがだ。
・と言っても、前に繋がる機器の出力インピーダンスが低い場合には、ループゲイン≒NFB量が小さくなるから、その場合のひずみ率も観ておく。

・で、出力インピーダンス=1kΩの場合。
・右は負荷8Ω時。

・で、ひずみ率は、

・負荷8Ωで、Total Harmonic Distortion: 0.198211%

・負荷4Ωで、Total Harmonic Distortion: 0.669032%

・ありゃ。我がパワーIVCと同程度になってしまった。

・のは、この場合NFB量が我がパワーIVCと同程度になったからだね。

・要すれば、歪率はNFB量次第ということだ。(爆)
・毎度のことだが以上はたたの占いである。信じてはいけない。



2015年7月12日







バッテリードライブ&シングルドライブ パワーIVC



・こんな感じ。

・バッテリードライブのシングルドライブパワーIVC。

・回路はNo−239で完璧に出来上がっており、これまでなかったのが不思議なくらいの完成度。

・だから基本的に弄るところはない。

・が、バッテリードライブだと電源数は多くしたくないので、出来ればプラスマイナス2電源にしたい。

・マイナス側は、幸いにもSCT2450KEが、ソース−ゲート電圧が4Vまで不感症だ。だから、この電圧以内で定電流回路を組めばマイナス側は1電源化できる。

・問題はプラス側。

・プラス側のSCT4250KEのソース電位はアンプ出力電圧そのものなので、そのゲート電位は出力段電圧以上にプラス側にドライブする必要がある。

・ので、出力段の電源電圧をフルに使った出力を得たいと思えばプラス側は電源を分離してフォールデットカスコード回路を含む前段電圧を出力段より高い電圧にすることが必須。

・とは言え、ウサギ小屋にそんな出力は要しない私の如く、出力が減少しても構わないのであれば、フォールデットカスコード回路で失われる電圧分ドライブ電圧が減少して出力も減ってしまうが、プラス側を1電源化することは可能だ。

・が、No−239オリジナルのフォールデットカスコード回路でこうしたのでは殆ど出力が得られなくなってしまうので、4V程度を頂戴するフォールデットカスコード回路にする。

・これで2電源化。

・とは言え、リチウムイオンバッテリーは6個必要。

・なお、終段SCT2450KEのソースには0.1Ωを入れる。のは電流制限型の保護回路を搭載するため。

・初段2SJ79のゲート電位は、このアンプの動作基準を司る重要なものなので、定電圧ダイオードで安定化した電圧を分圧して与える。No−239オリジナルは安定化電源採用だが、こちらはそうではないのでこうする。

・ちなみに実際はHZシリーズを使うが、HZシリーズは10V以上のものの方が定電圧特性に優れる。ので、HZ12B2あたりを使う。

・その意味では、定電流回路とフォールデットカスコード回路の定電圧ダイオードが3Vなのはいまいちなのだが、プラスマイナス2電源とするためには是非もなし。
・早速、ミドルブルック法でオープンゲイン等を観る。先ずは帰還抵抗=IV変換抵抗=15.1kΩ。
・負荷{r}を4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ω、80kΩ(負荷オープン相当)にした場合のパラメトリック解析。赤がオープンゲイン、青がクローズドゲイン、緑がループゲイン≒NFB量。

・オープンゲイン(赤)とループゲイン(緑)は、下から上に負荷{r}が4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ω、80kΩ(負荷オープン相当)の場合。クローズドゲイン(青)はいずれの場合も同じなので一本になっている。

・オープンゲイン(赤)は、低域において負荷4Ωで37.3dB、負荷8Ωで43.1dB、負荷16Ωで48.8dB、負荷32Ωで54.1dB、負荷64Ωで58.9dB、負荷80kΩ(負荷オープン相当)で70.1dB。

・ループゲイン(緑)≒NFB量は皆低域でオープンゲイン(赤)に等しい。


・クローズドゲイン(青)は、低域で0dB。

ループゲイン(緑)が高域で0dBに沈むポイントにおけるその位相(緑の点線)だが、利得交差周波数は4Ωの場合3MHz、80kΩ(負荷オープン相当)の場合で22MHzと負荷が大きくなるほどにが高域に移動するが、その位相も負荷が大きくなるほどに位相の戻りが高域まで伸びる。

・利息交差周波数において位相回転が−120°以内に収まるのは負荷64Ωまでで、負荷80kΩ(負荷オープン相当)の場合は−130°程度になるようだ。これで負荷オープンでも安定かどうかはやってみないと分からない。
・次に帰還抵抗=IV変換抵抗=5.1kΩ。
・オープンゲイン(赤)、クローズドゲイン(青)、ループゲイン(緑)とも殆ど変化はないが、やはりループゲインの位相(緑の点線)の高域の戻りが少なくなっている。

・オリジナル(風)よりこちらの方が高域のループゲインの位相(緑の点線)戻りがやや弱い。

・位相補正の20pFを増やす必要があるかも知れない。
・10kHz正弦波応答を観てみる。

・入力は、出力が飽和することを承知で2mA。
・赤が出力波形だが、正弦波なのに方形波のようになってしまっている。のは出力が電源電圧の制約で飽和しているためだが、これでプラス側の出力電圧の限界が11.3V、マイナス側の限界は−21Vであることが分かる。

・ついでに終段SCT2450KEのプラス側U1のドレイン電流(緑)とマイナス側U2のドレイン電流(青)も表示してある。

・立ち上がり時に貫通電流が流れている。が、それ以外は平和。
・帰還抵抗R12を11kΩ、入力を1mA、10kHzとして、飽和しない状態の正弦波応答を観る。
・終段アイドリング電流が≒300mAであることや、終段プラスマイナス側それぞれのSCT2450KEのドレイン電流の変化などが良く分かる。

・問題なし。
・帰還抵抗R12を15.6kΩに戻し、±0.8mA、10kHzの方形波応答を観る。
・プラスマイナスで出力電圧が異なる。のは、プラス側が11.3Vで飽和しているため。U1よりU2のドレイン電流が大きいのも同じ理由。

・電圧波形、電流波形とも問題なし。
・入力は1mAp−p、10kHzの方形波応答。

・帰還回路のR12は15.1kΩ。

・負荷R13を4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ω、80kΩ(負荷オープン相当)のパラメトリック解析。
・ややオーバーシュートが出るが、問題ない。
・FFTでひずみ率を見る。

・入力0.5mA、1kHz正弦波。

・R12のIV変換抵抗=帰還抵抗は11kΩ。としたのは、我がパワーIVCとの比較のため。
・右は負荷8Ω時。

・で、ひずみ率は、

・負荷8Ωで、Total Harmonic Distortion: 0.012894%

・負荷4Ωで、Total Harmonic Distortion: 0.046229%

・No−239(風)と殆ど同じ。


・とまぁ、良さ気。
・なので、作ってみようか。



・なのだが、このままだと、マイナス側の−11.3Vを超える出力は実際のところアンプ出力としては活用できないので、結局マイナス側の22.5V電圧はマイナス側のSCT2450KEの消費電力として無駄に使うことになる。

・ので、リチウムイオンバッテリーを1個減らしてはどうか。

・で、右。
・10kHz正弦波応答。

・入力は、1mAなので、この場合当然プラスマイナスとも飽和する。が、飽和電圧を観るのがそもそもの目的。

・で、これならプラスマイナスの飽和電圧は大体一緒。

・良さ気。
・FFTでひずみ率を見る。

・入力0.5mA、1kHz正弦波。

・R12のIV変換抵抗=帰還抵抗は11kΩ。としたのは、我がパワーIVCとの比較のため。
・右は負荷8Ω時。

・で、ひずみ率は、

・負荷8Ωで、Total Harmonic Distortion: 0.008022%

・負荷4Ωで、Total Harmonic Distortion: 0.043534%

・驚いたね。No−239(風)は勿論、上のマイナス側−22.5Vの場合より良い数値だ。



・じゃあ、これでいいわなぁ。
・なのだが、これだと、終段SCT2450KEのプラス側とマイナス側の消費電力がアンバランスだ。

・リチウムイオンバッテリー5個をそのまま使うことを前提にすれば、ちょっと配線を変えれば良いだけなので、3電源化してもいいかな。
・10kHz正弦波応答。

・入力は、1mAなので、この場合も当然プラスマイナスとも飽和する。

・上に比べるとプラス側の最大出力電圧がちょっと小さくなった。が、この程度なら大した差ではない。SCT2450KEはソースーゲート間電圧4Vまでは不感症なので、この場合、15V−4V=11Vがプラス側の最大出力電圧になるのは理屈通り。
・FFTでひずみ率を見る。

・入力0.5mA、1kHz正弦波。

・R12のIV変換抵抗=帰還抵抗は11kΩ。としたのは、我がパワーIVCとの比較のため。
・右は負荷8Ω時。

・で、ひずみ率は、

・負荷8Ωで、Total Harmonic Distortion: 0.011242%

・負荷4Ωで、Total Harmonic Distortion: 0.043266%

・これもNo−239(風)は勿論、上のマイナス側−22.5Vの場合より良い数値だ。



・これでもいいわなぁ。
・毎度のことだが以上はたたの占いである。信じてはいけない。



2015年7月25日







バッテリードライブ&シングルドライブ パワーIVC その2



・こんな感じ。

・バッテリードライブのシングルドライブパワーIVC その2。

・シミュレーションなので、Q4のフォールデッドカスコード回路の定電圧源はツェナーダイオードの代わりに電圧源(V3)にしてある。

・さらに、シングルドライブのQ3(2SA606)の前段に電流入力バッファを追加し、前置機器の出力インピーダンスや前置機器との接続ケーブルの容量の影響を受けないようにした。

・この回路定数で、終段U1、U2のSCT2450KEのアイドリング電流は200mA。入出力のオフセットはほぼ0V。
・負荷を4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ω、80kΩ(負荷オープン相当)とした場合のゲイン−周波数特性。

・IV変換抵抗(ボリューム)R13は11kΩ。

・赤がオープンゲイン。空色がクローズドゲイン。緑がループゲイン≒NFB量。

・オープンゲインは、負荷が4Ωの場合38.0dB、8Ωの場合43.6dB、16Ωの場合48.7dB、32Ωの場合53.2dB、64Ωの場合56.7dB、80kΩ(負荷オープン相当)の場合62.8dB。

・クローズドゲインはどの場合も≒20.8dB。だが、負荷が80kΩ(負荷オープン相当)→4Ωの方向でやや小さくなっている。

ループゲイン≒NFB量は負荷が4Ωの場合18.3dB、8Ωの場合23.4dB、16Ωの場合28.2dB、32Ωの場合32.5dB、64Ωの場合36dB、80kΩ(負荷オープン相当)の場合42dB。
・で、Q4のフォールデッドカスコード回路の定電圧を、定電流×抵抗で作る回路がこう。

・電流入力バッファの定電流回路のD1を共用してQ2、R6で定電流回路を構成して追加し、その電流をR3に流してQ4のフォールデッドカスコードのベースに定電圧を与えるものである。
・負荷を4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ω、80kΩ(負荷オープン相当)とした場合のゲイン−周波数特性。

・IV変換抵抗(ボリューム)R13は11kΩ。

・赤がオープンゲイン。空色がクローズドゲイン。緑がループゲイン≒NFB量。

・オープンゲインは、負荷が4Ωの場合36.5dB、8Ωの場合42dB、16Ωの場合47.3dB、32Ωの場合51.9dB、64Ωの場合55.7dB、80kΩ(負荷オープン相当)の場合62.4dB。

・クローズドゲインはどの場合も≒20.8dB。だが、負荷が80kΩ(負荷オープン相当)→4Ωの方向でやや小さくなっている。

ループゲイン≒NFB量は負荷が4Ωの場合17dB、8Ωの場合22dB、16Ωの場合26.9dB、32Ωの場合31.3dB、64Ωの場合35dB、80kΩ(負荷オープン相当)の場合41.7dB。

・上よりちょっとだけゲインが小さいが、ほぼ同じだ。
・で、この回路を書き直すと、、、



・な〜んだ。私の作った電流入力Power IVCではないか。(爆)



・この書き方では2段目が差動アンプのように見えるが、実は、その一方(右ではQ3)は、ベースが定電流回路で作られた電流×R3で発生する定電圧で固定されたベース接地動作なので、要するにBGAである。

・よって、Q4の2SA606のコレクタ側と、エミッタ側に接続されたQ3のBGAから、互いに逆相で同振幅に変化するコンプリメンタリー電流が発生し、そのコンプリメンタリー電流でSEPP出力段をドライブする。

・即ち、このアンプは、電流入力バッファを追加することにより前置機器の出力インピーダンスや前置機器との接続ケーブルの容量の影響を受けないようにした、Q4の2SA606によるシングルドライブパワーIVC。
     
・で、No−239の知見も拝借して、こんな感じ。

・SCT2450KEはドライバー段が不要のようなので、撤去。

・定電流回路による、出力段アイドリング電流の調整と出力段の温度補償は、エレガント。なので、ドライバー段がなくなってトランジスタが2個浮いた分をこれに当てる。

・Q1、Q7、Q8で電流入力バッファを構成。実際はデュアルTRの2SC2290で組むことを想定。動作点電流は3mA程度の設定。よって、R2、R3を1.5kΩにするとプラス電圧から4.5Vが出力に生かせない電圧となってしまうのだが、ウサギ小屋で使うことが前提なので、無視。

・シングルドライブのQ4とBGAのQ3の動作点電流は5.9mA程度。これを引き抜く定電流回路Q5,Q6の動作点電流が3.7mA程度で、結果、R9とR11には2.2mA程度の電流が流れ、これで出力段U1、U2のアイドリング電流は300mA程度になっている。

・R1で入力オフセットを調整、R6で出力オフセットを調整、そしてR7で出力段のアイドリング電流を調整する。なお、R7はNo−239のようにサーミスタも組み込んで構成することを想定。
・負荷を4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ω、80kΩ(負荷オープン相当)とした場合のゲイン−周波数特性を観る。

・IV変換抵抗(ボリューム)R13は11kΩ。
・赤がオープンゲイン。空色がクローズドゲイン。緑がループゲイン≒NFB量。

・オープンゲインは、負荷が4Ωの場合44.1dB(36.5dB)、8Ωの場合49.0dB(42dB)、16Ωの場合53.3dB(47.3dB)、32Ωの場合56.5dB(51.9dB)、64Ωの場合58.8dB(55.7dB)、80kΩ(負荷オープン相当)の場合61.7dB(62.4dB)。

・クローズドゲインはどの場合も≒20.8dB。

・ループゲイン≒NFB量は、負荷が4Ωの場合23.8dB(17dB)、8Ωの場合28.5dB(22dB)、16Ωの場合32.6dB(26.9dB)、32Ωの場合36.1dB(31.3dB)、64Ωの場合38dB(35dB)、80kΩ(負荷オープン相当)の場合41dB(41.7dB)。

・括弧内の数値は上の従来型のものだが、80kΩ(負荷オープン相当)の場合を除き、従来型よりオープンゲインが7.6dB〜3.1dB大きい。のは、Q4及びU1、U2の動作点電流が従来型より多く、その分gmが大きいため。

・80kΩ(負荷オープン相当)の場合のオープンゲインが伸び悩むのは、シングルドライブ素子Q4の出力インピーダンスが十分に高いものでないため。

・右のようにBGAと言うかカスコード回路を追加して、出力インピーダンスを十分高いものにすると改善するだろう。

・これだとシングルドライブ素子Q4のエミッタ側もコレクタ側もBGA。と、No−239と同じになる。といっても見た目の通り全く同じではない。

・で、右の定数で出力段U1、U2のアイドリング電流は300mA程度になっている。
・結果はこう。

・見方は同じ。

・出力段の完全対称動作が理想的になって、オープンゲインの伸びが負荷値に綺麗に比例するものとなる。

・が、カスコード回路の追加でプラス側の電圧をさらに食うので、出力電圧がその分小さくなる。

・し、今やモーショナルフィードバックなんてことも語られなくなった。(爆)

・ので、カスコード回路のないシンプルな回路でいいかなぁ。。。
・ところで、位相補正は、帰還回路の抵抗にCをパラにするものでも良さ気。
この方がオープンゲインのfcがより高域に伸びて、見た目が良い。(爆)
それは、こちらの回路の場合も同じ。
・負荷8Ωの場合のオープンゲインのfc≒80kHzと、上のNo−239(風)と同じになった。たまたま。
・バッテリードライブでは、出力段に300mAのアイドリング電流を流すのは、バッテリーの持ちの関係でつらい。

・ので、R7を調整して出力段のアイドリング電流を200mAにセットする。
・赤がオープンゲイン。空色がクローズドゲイン。緑がループゲイン≒NFB量。

・オープンゲインは、負荷が4Ωの場合41.9dB(44.1dB、36.5dB)、8Ωの場合47.9dB(49.0dB、42dB)、16Ωの場合51.6dB(53.3dB、47.3dB)、32Ωの場合55.3dB(56.5dB、51.9dB)、64Ωの場合58.0dB(58.8dB、55.7dB)、80kΩ(負荷オープン相当)の場合61.8dB(61.7dB、62.4dB)。

・クローズドゲインはどの場合も≒20.8dB。

・ループゲイン≒NFB量は、負荷が4Ωの場合21.8dB(23.8dB、17dB)、8Ωの場合26.6dB(28.5dB、22dB)、16Ωの場合31.0dB(32.6dB、26.9dB)、32Ωの場合34.6dB(36.1dB、31.3dB)、64Ωの場合37.3dB(38dB、35dB)、80kΩ(負荷オープン相当)の場合41.1dB(41dB、41.7dB)。

・括弧内の数値は、順に出力段のアイドリング電流が300mAの場合、上の従来型の場合だが、80kΩ(負荷オープン相当)の場合を除き、出力段のアイドリング電流が100mA減ったことにより、オープンゲインが2.2dB〜0.8dB小さくなっている。それは出力段のgmが小さくなったため。

・が、出力段のアイドリング電流が200mAと同じである従来型と比較すると、オープンゲインは5.4dB〜2.3dB大きい。のは、Q4の動作点電流が従来型より多く、その分gmが大きいため。

・と、定電流回路があると、この動作点電流の設定の自由度=gm設定の自由度=オープンゲイン設定の自由度が高まる。
・方形波応答を観る。

・のは、位相補正が適正かどうかを観るためだが、まずはQ3、Q4のB−C間に20pFのCで補正する場合。

・入力は1mAp−p、10kHzの方形波応答。

・帰還回路のR13は11kΩ。

・負荷R13を4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ω、80kΩ(負荷オープン相当)のパラメトリック解析で一挙に観る。
・青が出力波形、赤が出力段U1のドレイン電流波形、緑がU2のドレイン電流波形。

・出力波形にオーバーシュート、アンダーシュートもなく、ドレイン電流波形も平和。とても良好に補正されていることが明らか。
・同様に、帰還抵抗=IV変換抵抗のR13にパラに20pFのCで補正する場合。
・こちらも大変良好。

・なので、Cが1個で済むこちらの方が合理的か。
・帰還抵抗=IV変換抵抗を1kΩとしてボルテージフォロア動作とした場合はどうかを観る。

・帰還量が増えるので、不安定方向になることが想定される。

・まずはQ3、Q4のB−C間に20pFのCで補正する場合。
・やはり、出力波形にはオーバーシュートとアンダーシュートが生じる。

・ドレイン電流波形にもオーバーシュートが生じる。そのピークはU1の方が大きい。何故か?

・知らない。
・次に、帰還抵抗=IV変換抵抗のR13にパラに20pFのCで補正する場合。
・やはり、出力波形にはオーバーシュートとアンダーシュートが生じるし、ドレイン電流波形にもオーバーシュートが生じる。

・が、いずれもそのピークは上の場合より小さい。その意味で、この場合はこちらの方が位相補正としては良好。
・FFTでひずみ率を見る。

・入力0.5mA、1kHz正弦波。

・R13のIV変換抵抗=帰還抵抗は11kΩ。
・右は負荷8Ω時。

・で、ひずみ率は、

・負荷8Ωで、Total Harmonic Distortion:0.093870%

・負荷4Ωで、Total Harmonic Distortion:0.347845%

・No−239(風)より悪いが、私の作った電流入力Power IVCよりは良い。

・のは、基本的にNFB量の違い。
・位相補正を帰還抵抗にCをパラにするものに変えても、ひずみ率は変わらないよなぁ。

・念のために観る。
・右は負荷8Ω時。

・で、ひずみ率は、

・負荷8Ωで、Total Harmonic Distortion:0.093443%

・負荷4Ωで、Total Harmonic Distortion:0.345726%

・なんと、こちらの方が僅かだがひずみ率が良い。本当?

・が、まぁ、この程度なら同じと言うべきか。
・2mA、10kHzの正弦波を入力して、最大可能出力電圧を観る。
・プラス側は10V弱、マイナス側は20V程度のようだ。

・だから、マイナス側の電源−22.5Vは出力的には無駄で、リチウムイオン2個の−15Vにするのが合理的。

・または、リチウムイオンバッテリー5個で、プラスマイナス15Vの2電源に、プラス側前段用に15Vに7.5Vを重ねた3電源にするのが一番合理的か。

・が、好きにする。



2015年8月2日








シングルドライブ ちょっと追加



・こんな感じ。

・初段差動アンプの出力をフォールデットカスコード回路で折り返して終段SEPP回路をドライブする。世間ではいわゆる1段増幅アンプ。

・反転動作のため、初段差動アンプのM2の方はゲートが接地されているので、全くのゲート接地動作をしているGGAである。って、従来の回路も初段はGGAに他ならない。

・M1のドレイン側は勿論M3のフォールデッドカスコードGGAで電圧が固定され電流が折り返して伝達される。

・要するに、このアンプもM1の2SK216によるシングルドライブパワーIVC(コンプリメンタリーゲート接地ドライブ)である。

・が、これでは従来型の2段目をフォールデットカスコード回路に変えただけではないか、ということになる。

・ので、か否かは知らないが、この回路でM2、M6、M7の3個が担っている機能を、一個の2SJ77に集約してしまったのがNo−239。

・その3個を1個に集約してしまった発想は素晴らしい。

・のだが、まぁ、シングルドライブパワーIVCとしては、これでも良いような気もする。

で、これで終段のアイドリング電流はU1が301mA、U2が304mAとなっている。
・ミドルブルック法で帰還抵抗=IV変換抵抗=15.1kΩでのオープンゲイン等を観る。
・負荷{r}を4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ω、80kΩ(負荷オープン相当)にした場合のパラメトリック解析。赤がオープンゲイン、青がクローズドゲイン、緑がループゲイン≒NFB量。

・オープンゲイン(赤)とループゲイン(緑)は、下から上に負荷{r}が4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ω、80kΩ(負荷オープン相当)の場合。クローズドゲイン(青)はいずれの場合も同じなので一本になっている。

・オープンゲイン(赤)は、低域において負荷4Ωで42.1dB(37.3dB)、負荷8Ωで48.0dB(43.1dB)、負荷16Ωで53.8dB(48.8dB)、負荷32Ωで59.4dB(54.1dB)、負荷64Ωで64.6dB(58.9dB)、負荷80kΩ(負荷オープン相当)で79.7dB(70.1dB)。括弧内はNo−239(風)の場合だが、負荷80kΩ(負荷オープン相当)の場合を除き4.8dB〜5.7dBゲインが大きい。のは、No−239(風)の場合、入力信号を初段ソース側のGGAと約半分づつ分け合うので初段のgmが実質約半分になるのに対し、こちらの場合、入力信号を差動動作のGGAと半分づつ分け合うのは同じだが、差動側の出力はプッシュプル合成されるので、初段のgmは結局実質で半分にはならないから。なので、こちらのオープンゲインが6dB程度大きくなるのは理屈。

・ループゲイン(緑)≒NFB量は皆低域でオープンゲイン(赤)に等しい。
クローズドゲイン(青)は、低域で0dB。

・ループゲイン(緑)が高域で0dBに沈むポイントにおけるその位相(緑の点線)だが、利得交差周波数は4Ωの場合5MHz(3MHz)、80kΩ(負荷オープン相当)の場合で21.5MHz(22MHz)と負荷が大きくなるほどにが高域に移動するが、その位相も負荷が大きくなるほどに位相の戻りが高域まで伸びる。オープンゲインが大きくなった分、利得交差周波数はNo−239(風)より高域に伸びた。
・利得交差周波数において位相回転が−120°以内に収まるのは負荷8Ω(64Ω)までで、負荷80kΩ(負荷オープン相当)の場合は−130°程度になるようだ。これで負荷オープンでも安定かどうかはやってみないと分からない。






・ので、方形波応答を観る。

・入力は1mAp−p、10kHz方形波。


・負荷R13を4Ω、8Ω、16Ω、32Ω、64Ω、80kΩ(負荷オープン相当)のパラメトリック解析で一気に観る。

・帰還回路のR12はまず15.1kΩの場合。
・負荷が4Ωの場合にオーバーシュートとアンダーシュートが生じるが、その程度はNo−239(風)よりやや大きい。が、この程度なら問題ない。
・帰還回路のR12が15.1kΩの場合。

・負荷が4Ωの場合と8Ωの場合にオーバーシュート、アンダーシュートが生じる。その程度は負荷が4Ωの方が大きい。

・No−239(風)と同様、上のループゲインの利得交差周波数におけるその位相回転具合からは理解できない結果だが、何故かは知らない。(爆)
・FFTでひずみ率を見る。

・入力0.5mA、1kHz正弦波。

・R12のIV変換抵抗=帰還抵抗は11kΩ。としたのは、我がパワーIVCとの比較のため。
・右は負荷8Ω時。

・で、ひずみ率は、

・負荷8Ωで、Total Harmonic Distortion: 0.006632%

・負荷4Ωで、Total Harmonic Distortion: 0.028994%

・No−239(風)は、

・負荷8Ωで、Total Harmonic Distortion: 0.012106%

・負荷4Ωで、Total Harmonic Distortion: 0.046741%

・と約2分の1の歪率。なのは、ループゲイン≒NFB量がNo−238(風)より6dB=2倍多いので当然だろう。

・が、比較すると、2次、4次、6次と偶数次高調波がより少ないことが分かる。これは初段GGAが差動動作の故だ。



・と、別に差動から解放されなくとも良いと思うけどね。

・柔軟に。

この方が温度安定性も良いだろうし。



・が、音が違う。と言われれば是非もなし。(爆)
・ところで、以上はたたの占いである。信じてはいけない。



2015年8月12日







シングルドライブ もうちょっと追加



・ところで、差動アンプ。

・右の左側は同極同特性の素子を使用したいわゆる差動アンプだが、右は異極性の素子を使った差動アンプ。

・異極性の素子を使用しているので、電源の掛け方が違うとともに、J4にはDCバイアスを掛けている。

・左側の差動アンプは、I1の定電流源により、J1、J2の動作点が2.15mAに規定されているが、右側の差動アンプは、V7の定電圧源により、J3、J4の動作点が2.15mAに規定されている。

・なお、右側の差動アンプには2SJ30AGRという変なPチャンネル素子を使っているが、これは2SK30AGRと同特性で極性のみが異なる、シミュレーション上の架空の素子である。

・差動アンプは同じ特性の素子であってこそだからね。
・そのゲイン―周波数特性。

・右側も左側も、それぞれの反転側も非反転側もゲインは低域で7.5dBと全く一致している。MHzの超高域でちょっと異なるだけ。

・右側もちゃんと差動アンプとして動作しているようだ。
・本当に差動動作しているのか?

・ということを調べるには、実際に差動アンプのふたつの入力に信号を入力し、その差分が増幅されて出力に現れてくるかを観れば良い。

・何をもって差動アンプと言うのか?って、二つの入力端子の差電圧を増幅するから差動アンプと言う。

・ので、10kHz正弦波を入力する。差動の左側には0.1Vの10kHz正弦波、右側にはパラメトリックに−0.1V、0V、0.1Vの10kHz正弦波を入力し一気に観る。
・結果。

・0mVの所に直線があるが、実は4本の線が重なっており、これは差動アンプの右側の入力が0.1V10kHzの正弦波の場合。

・ピーク200mV強の真ん中の正弦波が、差動アンプ右側の入力が0Vの場合で、ピーク500mV弱の正弦波が、差動アンプ右側の入力が−0.1V正弦波の場合。

・要すれば、各差動アンプの入力電圧差が0.2Vの場合がピーク500mV弱の正弦波出力、0.1Vの場合がピーク200mV強の正弦波出力、そして0Vの場合が0mVの直線出力だ。

・と、左側の同極同特性の素子を使用したいわゆる差動アンプも、右側の異極性の素子を使用した差動アンプも、正に差動アンプだ。
・で、この異極性の素子を使用した差動アンプを書き換えると、右の通り同相GGA回路になる。

・この場合、J6のゲートが接地されているので、入力信号はJ5とJ6に分配され、J5とJ6は互いに相手を拘束しながら動作して、結果として同じ電流が流れる。


・この回路はJ5のゲートとJ6のゲートの差電圧で動作し、その各ドレイン側出力は、終段SEPPで合成される。

・正しく信号の分配と合成がなされる差動アンプだね。

・と、同相GGA。差動アンプから解放された?
・それは、2SJ30AGRなどという、極性だけが異なる2SK30AGRと同特性の素子で組んだからではないのか?



・なので、同相GGAを2SJ74GRにしてみる。

・2SJ74は2SK30に比べたらgmはかなり大きい。

・そのゲート電位を調整し、右の設定でJ3、J4の動作点は2.15mAである。
・そのゲイン―周波数特性。

・低域で8dB弱なのは、勿論図の左側の同極性の普通の差動アンプのもの。

・で、低域で12dB強(12.62dB)のものが、2SJ74GRを用いた同相GGA回路のもの。

・一方にgmの大きい素子を起用したために、差動アンプとしてのゲインが大きくなったんだね。
・本当に差動動作か?

・ということを、実際にふたつの入力に信号を入力し、その差分が増幅されて出力に現れてくるかで観る。

・ので、ふたつの入力に10kHz正弦波を入力する。

・入力左側には0.1Vの10kHz正弦波、右側にはパラメトリックに−0.1V、0V、0.1Vの10kHz正弦波を入力し一気に観る。
・結果。

・0Vの所に直線があるが、実は4本の線が重なっており、これは図の左の普通の差動アンプも、図右の異極性差動アンプ(同相GGA回路)も、その右側の入力が0.1V10kHzの正弦波の場合。

・すなわち二つの入力信号が同相の同振幅同信号の場合、入力信号が打ち消されて出力に現れない。

・正に差動アンプの動作だ。

・図左の普通の差動アンプの出力である緑とピンクは置いておいて、図右の異極性差動アンプ(同相GGA回路)の出力である赤と空色を観ると、ピーク0.4V強の正弦波が、差動アンプ(同相GGA)右側の入力が0Vの場合で、ピーク0.8V強の正弦波が、差動アンプ(同相GGA回路)右側の入力が−0.1V正弦波の場合。

・トータルgmが大きくなった分、出力が大きくなっているが、2SK30GRと2SJ74をペアとした同相GGA回路も、正に差動アンプ。
・ふ〜む。それは、特性は多少異なるとはいっても同じFETによる構成だからではないのか?



・なので、同相GGAをトランジスタの2SA1015GRにしてみる。こうするとGGAではなくBGA。


・そのベース電位を調整し、右の設定でJ3の動作点は、2.15mAだが、Q1はベース電流があるため、エミッタ電流が2.15mA、コレクタ電流は2.14282mAである。
・そのゲイン―周波数特性。

・低域で8dB弱なのは、勿論図の左側の同極性の普通の差動アンプのもの。低域で13dB程度(13.3dB)のものが、2SA1015GRを用いた同相BGA回路のもの。

・トランジスタのgmはさらに大きいので、2SJ74GRを起用した同相GGA回路よりトータルgmが大きくなった。

・が、1V入力で、13.3dBのゲインということは4.63倍である。2kΩの負荷で4.63倍であるから、gm=4.63/2=2.315mS。

・って、これはId=2.15mAにおける2SK30GRのgmにほぼ同じ。相方に2SA1015GRという数十mSの素子を起用しているのに、トータルで2SK30GR1個のgmにしかならないのか。

・それは、差動アンプも同相BGA(GGA)回路も直列接続で、入力信号を分配して動作するものであるから。

・だから、ゲイン的にはgmの小さい方が同相GGA(BGA)回路のボトルネックになる。

・同極性の普通の差動アンプは、全く特性の同じ素子を起用して7.55dBのゲインということは2.38倍だから、gm=2.38/2=1.19mS。と、良く言われるように差動アンプのgmはシングルの場合の1/2。なのは入力信号が1/2に分配されるから。

・特性の異なる素子、具体的にはgmの小さい素子(2SK30)とgmの大きい素子(2SJ73や2SA1015)で同相GGA(BGA)回路を組めば、トータルのgmは大きくなるが、gmの小さい方がボトルネックになるので、gmの大きい方のgmが無限大の時にトータルのgmがgmの小さい方のシングル動作時のgmになる。ということ。
・差動動作を確かめる。

・ふたつの入力に信号を入力し、その差分が増幅されて出力に現れてくるかを観る。

・ので、ふたつの入力に10kHz正弦波を入力する。

・左側には0.1Vの10kHz正弦波、右側にはパラメトリックに−0.1V、0V、0.1Vの10kHz正弦波を入力し一気に観る。
・結果。

・0Vの所に直線があるが、実は4本の線が重なっており、図の左の普通の差動アンプも、図右の同相BGA回路も、その右側の入力が0.1V10kHzの正弦波の場合。すなわち二つの入力信号が同相の同振幅同信号の場合。この場合、入力信号が打ち消されて出力に現れない。

・やはり正に差動アンプの動作だ。

・図左の普通の差動アンプの出力である緑とピンクは置いておいて、図右の同相BGA回路の出力である赤と空色を観ると、ピーク0.5V弱の正弦波が、同相BGA回路右側の入力が0Vの場合で、ピーク1V弱の正弦波が、同相BGA回路右側の入力が−0.1V正弦波の場合。

・トータルgmが大きくなった分、出力が大きくなっているが、2SK30GRと2SA1015GR4をペアとした同相BGAも、正に差動アンプ。

・で、その出力は、図左側の普通の同極性差動アンプの2倍弱になっている。

・2SA1015GRのgmが大きいので、同相BGA回路のトータルのgmが、gmの小さい方、すなわち2SK30GRのシングル動作時のgmに近づいたため。

・理屈どおり。
・と、同相GGA、BGA回路は、二つの入力の差分を増幅する、要すれば異極性差動アンプ。






・なのだが、大変残念なことに、この異極性差動アンプは、普通の同極性の差動アンプが有する優れた特徴(特性)を有していない。

・これまで世間で異極性差動アンプが使われたのを見たことがないのは、多分そのため。

・その優れた特徴(特性)を有していないことをもって、これは差動アンプではない。と言う人もいるかな?






・何?

・その辺をFFTの歪率で観じる。

・先ずは普通の同極性差動アンプ。

・入力は1kHz正弦波で、出力が2Vp−pになるように入力レベルを調整。
・結果。

・Total Harmonic Distortion: 0.669619%

・これが良いか悪いかは他と比べないと分からないが、一番大きなレベルの3次高調波が基本波の−40dB(1/100)以下なのでこの歪率なのだ。

・で、2次、4次、6次、8次と偶数次高調波が、3次、5次、7次の奇数次高調波に比して大きく減衰しているのは、さすがに差動アンプ。
・次に極性だけが異なる、特性の同じ素子を起用した異極性差動アンプ、すなわち同相GGA回路。

・入力は1kHz正弦波で、出力が2Vp−pになるように入力レベルを調整。
・結果。

・Total Harmonic Distortion: 5.410312%

・ありゃ(爆)

・同じ特性の素子を使っているのに、同極性の差動アンプの8倍もの歪だ。

・し、2次高調波のレベルが上の差動アンプに比して約60dB(1000倍)大きく、3次高調波のレベルが約20dB(10倍)小さい。

・この場合、一番大きなレベルの2次高調波が基本波の−20dB(1/10)以下程度なのでこの歪率なのだ。

・折角、極性だけが違い他の特性は2SK30と全く同じの2SJ30という素子を起用して組んだ異極性差動アンプなのに、同極性の差動差動アンプが有する偶数次高調波の抑圧機能がないようだ。
・う〜む。と思いつつ、

・次に、2SJ74GRを起用した異極性差動アンプ、すなわち同相GGA回路。

・入力は1kHz正弦波で、出力が2Vp−pになるように入力レベルを調整。
・結果。

・Total Harmonic Distortion: 5.390122%

・やはり同極性の差動アンプの8倍もの歪。高調波の出方も殆ど同じ。

・2次歪のレベルが高く、素朴なシングルアンプの特性みたいなのも同じ。

・で、全く特性の異なる素子を起用しているのに、やや歪率は良くなった。(爆)
・えぇ〜。と思いつつ、

・次に2SA1015GRを起用した異極性差動アンプ、すなわち同相BGA回路。

・入力は1kHz正弦波で、出力が2Vp−pになるように入力レベルを調整。
・結果。

・Total Harmonic Distortion: 5.471310%

・これまででは一番歪率が悪いが、この程度なら同じと言うべきか。

・で、やはり同極性の差動アンプの8倍もの歪。

・偶数次高調波の抑圧がなされず、2次歪のレベルが高く、結果素朴なシングルアンプの特性みたいなのはこれも同じ。
・と、要すれば、異極性差動アンプ、すなわち同相GGA(BGA)回路には、普通の同極性差動アンプが有する偶数次高調波の抑圧効果と、これに伴う歪低減効果がないのか?

・ということは、普通のシングル回路の歪率を観れば分かるだろう。

・ので、右。

・V7でバイアスを調整し、これで動作点は2.15mA。

・入力は1kHz正弦波で、出力が2Vp−pになるように入力レベルを調整。

・で、入力のレベルは上の同極性の普通の差動アンプの場合の1/2となる。理屈どおり。
・結果。

・ありゃ。一目瞭然だ。(爆)

・Total Harmonic Distortion: 5.408759%

・異極性差動アンプ、すなわち同相GGA(BGA)回路には、同極性の普通の差動アンプが有する偶数次高調波の抑圧効果と、これに伴う歪低減効果がない。

・その特性は只のシングル動作のアンプだ。






・ふーむ。。。

・逆に、同極性の普通の差動アンプの優秀な特性が実に明らかだね。

・2次高調波を1/1000に抑制し、トータルの歪もシングル動作の場合の1/10。

・さらに直流安定度にも優れるのだ。

・だから、別に差動アンプから解放されなくとも良いと思うのだが。

・同相GGA、BGA回路も、入力信号が同相GGA、BGA回路を構成する2つのデバイスに分配され、2つの信号は増幅されて、出力段で合成される。すなわち、同相GGA、BGA回路も、シングルアンプと異なり信号の分配と合成が起きているのだから、猶更そう思う。
・が、異極性差動アンプ、すなわち同相GGA、BGA回路は、同極性の普通の差動アンプが有する偶数次高調波の抑圧効果と、これに伴う歪低減効果がない。

・から、これをシングルアンプと解しても間違いとは言えない?

・で、GGA、BGA回路の差動アンプである機能は、SAOCでの超低域NEB信号の帰還入力端子として使うのが関の山。と言うことか。

・と、あれこれ言っても、今回同相GGA、BGA回路が採用された。

・これまで40年のDCアンプは、差動アンプで偶数次高調波を抑制したアンプだった。

・差動アンプから解放されたという同相GGA、BGA回路のシングルドライブアンプは、その特性からも明らかだが、真空管のシングルアンプ的な偶数次高調波の多いアンプへの最終移行宣言だろうか。

・まぁ、“単管ドライブ”とか“シングルドライブ”とかいう命名からしてそうなのだろう。

・真空管の音がお好きなんだなぁ。






・結論。

・差動アンプからの解放とは、差動アンプを使わないという形式的なことではなく、偶数次高調波で心地よいシングルアンプの音への全面的な回帰。と言うことだろう。

・40年間、実に遠回りしたね。
・で、本当に音が良いかどうかは、“本機の音”を読んでも何も分からない。

・自分で作るか、試聴会で確かめるのほかなし。



・なお、言うまでもなく以上はたたの占いである。信じてはいけない。



2015年8月18日